『35年ぶりの再会、そして別れ』
「まもなく 列車は 魚津駅に到着します・・・」と、
「特急・はくたか4号の車内アナウンス」に、せかされるように、座席に広げていた荷物類を
バックに詰め込み始めた。
列車は、定刻の11:20に、北陸本線・魚津駅のホームに入った。
35年ぶりに再会する女性との距離は、50メートルと縮まった。
改札口を見るが、それらしき人はいない。 一瞬、不安が横切った。
とりあえず、改札口を通り過ぎ、駅舎の外に出てみた。
と、すると、記憶の片隅にあった(事前に当時の写真を見ているが)丸顔の22歳の顔に、
幾分か似ている女性が近づいてきた。
「・・・しばらく・・・」なんだか、会話になっていない。
35年間のブランクは、年賀状の交換と、最近の2年間で4回程の電話と3回のメール交換である。
そもそもの出会いは、学生時代に、一ヶ月の西国旅行に行った折り、大分観光バスを利用した際に
一緒になり、東京に戻り、彼女たちのクリスマスパーティーに招かれ、国立音大の寮に行ったことと、
就職後、下北沢の街で、偶然に再会した。
その後、読売ランドの遊園地に一度、松田のミカン狩りに一度のデイトをしたらしい。
・・・ らしいとは、・・・
(二人とも、記憶には、別々の一回キリとなっていた。)からである。
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さて、今回の再会のきっかけをかいつまんで話しておかないと、なるまい。
近ちゃんの「温泉シリーズ」において、北陸3県がまだ、未踏の地であった。
せっかく、金沢に行くのだから、富山県で途中下車すればいい。
名の知れているのは、「宇奈月温泉」、その宇奈月の近くに住んでいるのが、
35年ぶりに再会する彼女だ。
途中下車して、往復の所要時間を聞くつもりで、自宅に電話した。
あいにく、彼女はまだ、職場から帰っていない。
退職して、毎日サンデーの旦那さんだけ、でも、近ちゃんは怖じけず、話を続けた。
数日後、彼女から、メールが入り、職場に電話して、ひょんな事から、車で、案内して
くれることになったのだった。
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35年ぶりの再会。
一瞬で、22歳の時の友達感覚になってしまった。 お互いに、連れ合いや
子供がいることも、全て、飲み込んでの、つかの間の、夫婦気取りで、
二人きりの世界になってしまった。
早速、駅前広場の駐車場で、彼女の車の助手席に乗り込んだ。
魚津ICから、北陸自動車道に入り、次の黒部ICで降り、
一路、「宇奈月温泉」を目指して、「再会物語」は走り出した。
しばらく走っていると、「地ビール館」が見えた。
早めの昼食をと、館内に入り、席についてメニューを見たら、ビール・セットばかり、
二人とも、アルコールは全然ダメ。
食事の品もなく、結局、ケーキ・セットになってしまった。
再び、車は、黒部の山へと登っていく。
「宇奈月温泉」駅前の写真を写し、一通り、温泉街を車で一回りした。
結局、彼女が先月の忘年会で利用した「ホテル延楽」に決めて、車を止めた。
昼食は、ホテルでは、やっていないので、向かいのそば屋に入った。
「鴨肉そば」と、「刺身の盛り合わせ」を頼んだ。
彼女をホテルのロビーで待たせ、一人で、「延楽」の大浴場「丹頂の湯」、露天風呂「琴音」を
貸し切った。
デジカメ片手に、すっぽんぽんで、露天風呂やら、撮影やら。
結局45分くらい待たせて、再び、車に乗り込んだ。 JRの時間を調べると、1時間ある。
「1分・1秒でも長く一緒にいたい。」との、二人の気持ちが、高速道路を使わずに、
一般道を選ばせた。
彼女の口から、33年間の連れ合いへの不満がグチとなって漏れてくる。
連れ合いより、古い友達の近ちゃんだから、そんなグチも聞いてあげられた。
再び、魚津駅に着いたのは、特急「はくたか10号」の発車時間(15:24)の7分前だった。
別れるときには、頭の中では、「ああしよう、こうしよう」と、考えてはいたものの、
結局は、お互いに手を差し出し、手を握って、「元気でね!」
彼女にとっては、連れ合いに内緒で出てきて、つかの間の古い男友達とのデイト。
高速道路の料金、ケーキ・セット二人前、鴨肉そば二人前、刺身の盛り合わせ、
日帰り入浴代、それに、地ビール館で名水の話をしたばかりに、
ペットボトルの黒部の水と、富山の深層水の代金が、全て、彼女の財布から支払われたのだった。
・・・次の目的地、「富山県高岡市の高岡城趾」の為に、特急「はくたか10号」に乗り込んだ。・・・
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| 北陸本線魚津駅 |
黒部の山並み |
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| 宇奈月温泉駅 |
駅前の温泉噴水 |
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| 黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)宇奈月駅 |
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対岸の山肌 |
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