全長500メートルの段葛を中程まで歩いて来た時、前方から来る
30歳代の女性に、ジロジロと、頭の上から、足下まで、舐めるような
視線を感じた。
その視線のターゲットは、近ちゃんとアンの手をつないだ二人連れである。
不倫の仲にしては、着ている服装が不釣り合い。
夫婦連れにしては、身体をピタッと寄せ合い、あまりにもベタベタしすぎ、
・・・・・・少し、スローモーションで観察しよう。・・・・・
ジロジロと視線を送ってくる女性との距離は、5メートル。
アンと近ちゃんは、傍目も気にせず、イチャイチャ・カップルでルンルン
気分、どうせ、知っている人なんて、鎌倉には、いないもんね。
近づくに従って、女性の目は、言っている。「この2人、なにやってんのぉー」
そして、我々2人の顔を見比べ、服装、組んだ腕、つないだ手、腰、足下、靴、
・・・・何か、つぶやいている。
「夫婦にしては、あまりにもくっつきすぎだわぁー」
「不倫の仲にしては、着ているものがアンバランスだぁー」
「いったい、この2人の関係は何なんだろう?!」
この女性の視線を動きを冷静に分析しながら、近ちゃんは思った。
「今更つないでいる手を離しても、組んでいる腕を解いても、もう遅い。
どうせ、見知らぬ通りすがりの女性ではないか!」
通り過ぎまでの辛抱と、腹をくくった。
まさに、目線による腹のさぐり合いが、わずか、3秒間の間に行われていた。