2時間半の2人だけのオフ会も、思いも寄らぬキスの嵐で、数十年ぶりに
燃えに燃えた青春と、異常なまでに高鳴った心臓の鼓動、近ちゃんの
この先の人生に、二度と無い経験であろう。
鎌倉駅に戻り、コインロッカーから荷物を取り出し、横須賀線の
上り電車に乗った。
アンは、荷物の中をゴソゴソと何かを探している。
そういえば、最初に、アメリカから持ってきたプレゼントを貰って
近ちゃんはバックの中にしまっていた。
早速、バックから取り出し、包装紙を破がし、中身を取り出した。
洒落たボールペンだった。
やっと、アンが荷物の中から取りだしたものは、カセットテープであった。
「女の出船」「忘れな草を貴方に」
が吹き込まれているそうだ。
日本に来る直前に、家庭用のオーディオ機器で吹き込んだので、
あまり、良くないよ。 と、しきりに、弁解している。
アンの首から携帯電話が架かっている。 アンは言う。
「日本にいる間レンタルしているの。 番号をメモっておいて!。」
車内放送が聞こえてくる。
「まもなく、横浜駅に到着します。」
近ちゃんは、網棚からバックを下ろし、背中に背負って、お別れの握手を
しようと、前屈みになって、手を差し出した。
すると、いきなりアンが立ち上がって、近ちゃんの上半身は、アンの胸の中に
抱きかかえられてしまった。 一瞬の出来事であり、へっぴり腰のまま、
アンにハングされた。