件  名 第36話 「学友の悲しい恋を思い出した」(法師温泉)
入浴日
編集日 :2001/3/12  21:00

所は、群馬県。新潟県との県境に近い新治村の法師温泉なり。

上越の旅のついでに猿ヶ京温泉まで足をのばしたが、国道17号線を
もう少し走れば三国峠、三国トンネルを抜ければ、その先は
新潟県であり、苗場スキー場である。

とりあえず三国トンネルは通り抜けた。・・しかし、何ら変らない
山間部の景色。・・・時間の無駄と思い、すぐにUターンする。

道路脇に「法師温泉はこちら」の看板を見つけた。
すかさず、ハンドルを大きく切って、わき道へ入った。

今を去ること35年前、東※大学の電気工学科のクラスメイトに
地方出身で純朴な男がいた。
部活の合宿で「法師温泉」を利用した。
陽気な男だったが、しばらくすると陽気さがなくなり、ノイローゼ
気味になっていった。

周りの学友から聞けば、「法師温泉の女中さん」と恋仲になり、
かなわぬ恋の果てに、やつれていったのであった。

車は、カエデ並木の枝でトンネルが作られ、一直線のじゃり道を
学友の心を弄んだ「法師温泉」へと、ひた走った。
温泉宿の為の一本道路、道路脇は雑木林のみ、十数分快走し、
行き着いた所は法師温泉の一軒宿「日本の秘湯を守る・長寿館」
の庭先であった。

建物は、全館木造、本館は江戸時代の旅篭の面影を残し、
大浴場も、他で見ることの出来ない異色のものだった。

お客も玄関脇の囲炉裏で迎えられる郷愁あふるる湯宿との事。

ここの日帰り入浴は、お昼時の数時間しかなく、とうに過ぎていた。

入館できなかったので、庭園を隈なく歩きまわった。

何時かは、この宿に数日間宿泊して、学友の悲しい恋のリ・プレー
を近ちゃん自身も体験してみようと、密かに心に刻み、
「法師温泉・長寿館」をあとにした。