D90の後継機  d7500-22118

東京都目黒区下目黒 1−8−1 目黒雅叙園
撮影日 :  2022−8−9
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「百段階段」で毎年夏に開催される企画展「和のあかり」は、今年で7度目となる暑い季節を涼しく過ごす怪談百物語をテーマにした「光と影・百物語」。

展示会場のエントランスは夕暮れ時をイメージしており、物語は夕暮れ時から始まります。
山口県の「柳井金魚ちょうちん」のあかりがゲストをお出迎えです。  よく見ると、もう何かに取り憑かれている金魚が……。

プロムナードでは「江戸風鈴」の篠原風鈴本舗や、「小田原風鈴」の柏木美術鋳物研究所、富山県高岡の鋳物メーカー「能作」の風鈴の音色を耳に“日本の涼”を楽しめます。

まずは、「十畝の間」では、壁を覆う照明アートは木の蔓(つる)をイメージ。
昼間は見えない影や、自然の中に潜む怪しさ、人里とは異質な森の生命力とを、光と影とでつむぎます。
中央にあるのは松明(たいまつ)に見立てたモニュメントでは、床に映る蜘蛛の巣には、囚われた蝶とジワジワと近づく蜘蛛とが映ります。(蜘蛛は見にくい位置にいますが、体毛があり、金色に光る目も迫力があった)

続いては、「漁樵(ぎょしょう)の間」。  床の間は菊池華秋の美人画、欄間は尾竹竹坡の五節句が浮彫された極彩色の部屋に、静岡市のアカリノワ「環・和・輪」が、放置竹林の竹を利用した「竹のあかり」を制作している。  竹から発する無数の光が、極彩色の室内を怪しくあでやかに照らします。

次は、「草丘の間」、歌舞伎の世界にみられる「恋の情念」を表現している。
歌舞伎の演目として知られる「牡丹燈籠」や「六条御息所」、「八百屋お七」など、男女の情念を描いた幽霊・生霊話をモチーフに、歌舞伎の世界を作りあげる松竹衣裳株式会社と歌舞伎座舞台株式会社が「草丘の間」を演出していた。

八百屋お七(やおやおしち)の井戸。 中を覗くと、背筋が凍る仕掛けもあり、超納涼感満点の写真が撮れる。
そばにあった江戸風鈴は、ガラス内側からの絵付けが特徴で、ドクロをよく見ると、江戸時代の浮世絵に見られる猫の寄せ絵(だまし絵)で描かれています。

さらに、階段を登っていくと、夜が更けるにつれもののけや魑魅魍魎(ちみもうりょう)、異界のモノたちが動き出す。
造形作家の中里繪魯洲氏が、樹と人間、馬と人間の立場をさかさまに置き換えて、夜の奥深く、見えることのない世界を表現している。

怪しく光る妖怪提灯が「静水の間」から「星光の間」へと続く廊下や小部屋を照らします。

美しい組子障子に映る化け猫の影。
人が寝静まった丑三つ時。 この世のものではないモノたちが集い宴会をしている。 「壁抜け猫又」や「地中より生まれる」など。
こちらをギロリとにらむ猫は、鏡には毛づくろいに夢中の猫が映ります。2本に分かれた尻尾とふたつの顔を持つ猫又です。

アマビエをはじめコロナの時代をアートで表現している、商業利用されて今や瀕死のアマビエが「ニンゲンコワイ」とダイイングメッセージ。
本当のもののけは、ヒトですか……

「清方の間」には、光と影を生み出す様々なジャンルの作品を展示していた。見る角度によって表情が異なる「行燈」や京行燈をモチーフに3Dプリンターで制作した作品は、角度によって黒い塊に見えたり、光を透したりする不思議な立体物です。
次の間では、真っ黒な炭の表面には、光と影の木目が現れ、独特の質感が生まれている。
夏の風物詩・花火を細密な切り絵で表現する「かみはなび」は、長岡 花火大会をモチーフにしたもので、微細な切り絵加工された紙のパーツを組み合わせた立体造形です。

最後の部屋の「頂上の間」は、百物語を終えた“朝のあかり”がテーマで、夜と朝の狭間にある、夢うつつなまどろみの世界を「生け花 古流かたばみ会」の次期家元・大塚理航氏が大胆に表現している。  風をイメージした反物や光を表す球体、オリジナルのアロマの香と窓の外の緑とが清々しさを演出。  窓外の雰囲気が天候や時刻によって変わるため、何度でも観ておきたい作品です。

    雅叙園・シリーズとして編集しました