私は、焼夷弾の猛火から神社の本殿を守ろうと必死だったので、当時の事は良く覚えていないけど・・・・。 取材者が社務所の呼び鈴を押した。
中から、中年の奥さんが顔を出した。
「3月10日の空襲で被災した木はどこですか?」
すると、雷の落ちたイチョウの木なら、あそこにと、指さした。
少し遅れて、老婆が顔を出した。
老婆は84歳、月島で生まれ、月島で戦災に会い、その後、三囲神社に嫁いだ。 ・・で、時の姑さんからイチョウの話を聞いたそうだ。・・
3月頃のイチョウの木は、若葉を開く前なので、水分を十分に蓄えている。
猛火に立ちはだかって、両手を広げていたそうだ。
炎により、蕾は焼かれて、イチョウの幹は高温に熱せられているで、枝先からシャワーのように水が吹き出していたとか。
その水のおかげで、本殿は類焼をまぬがれたそうだ。
イチョウの木と本殿の間にあるモッコクの木も痛々しい火傷の後遺症がある。
ところで、三囲神社は三井さんに縁深い神社、三越のトレードマークのライオン像、目尻の下がった狐、各界の有名人の歌碑が境内に沢山有った。 |