D90が観た画像  d90-15118

撮影地 埼玉県比企郡川島町 遠山邸
撮影日時 2015−3−8
作品のタイトル 伝統的日本建築の遠山邸
作品の概要 「遠山邸」は、戦前に建てられた個人邸宅の"最高峰級"と評されております。
施主は日興證券の創立者、遠山元一。

遠山家は代々豪農の家柄でしたが、元一の幼少時代に没落しました。
そのため元一は、丁稚奉公から証券の世界に身を投じ、ついに会社を興すまでに成功しました。
やがて元一は生家の土地を買い戻し、苦労した母親のために生家を再建しました。
建設にあたり、当時考え得る最高の職人と高価な銘木を日本全国から集め、
建設に費やした歳月は2年7ヶ月、工事に携わった職人は延べ3万5千人。

建物は、長屋門と土蔵、渡り廊下でつながる東棟・中棟・西棟からなり、総建坪は400坪、敷地面積は約2,800坪という壮大な邸宅を築き上げました。

日曜日の午後1時から、学芸員の説明付きの見学会が有りました。
聞き漏らした部分も多いけど、概略を記して置きます。
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〈東棟囲炉裏の間〉
農家風とはいえ、網代天井を張り、研ぎ出し土間という昭和モダンも加味された個性的な座敷です。
大きな囲炉裏と欅の太い大黒柱が特徴です。
特に、注目したいのは、「研ぎ出し土間」・・・御影石を粉にして、練り物を混ぜ、壁を塗るように、一つ一つの亀甲の中央部が盛り上がっていました。
畳は、地元のアーティストの作品だそうです。

〈中棟18疊間〉
伝統的な書院造りで建てられ、貴顕の来客を接待していたとか。
廊下天井に目をやると、杉の丸太の一本が度肝を抜きます。
壁は宝石のアメジストを粉にして、塗りこんであるので、キラキラしています。
ここでも注目したいのは、「七宝花菱」の透かし彫り欄間です。
8ヶ所で支えている為、指で突っつけば、ぽろっと抜けてしまいそうです。
大黒柱も注目、4面とも木目が同じです。

〈西棟7疊間〉
3つの座敷の中央にある茶室。
火灯口の疊が点前座で、床は松の踏込床です。
墨差し天王寺という濃淡模様がでた土壁、東と南に1間半の開口をもうけて、庭の景色を呼び込むという個性的な座敷です。
ここでは、当代きっての名工たちが誇りをかけて造り上げた、今では再現不可能な"超絶技巧"を堪能することができます。目に見えないところまで手を抜かない職人魂と、日本全国から銘木を集め、時間と財を惜しまず注ぎ込んだ施主のこだわり。今も全国から多くの職人たちが研修に訪れるというこの家には、日本の誇る近代和風建築のひとつの頂点がありました。

〈遠山邸主庭〉

2階建ての中棟、右に豪農風の東棟、左に数寄屋造りの西棟から、それぞれ違った庭の風情が楽しめます。
庭の主役は松で、紅葉や槇、椎などの樹々が景色を豊かにしています。