首都圏には萩の名所もたくさんあるが、「向島百花園の萩のトンネル」は、30メートルの長さが有り、トップクラスである。
一口に『萩』と言っても、ここには10種類の萩が植樹されている。江戸の町人文化が花開いた文化・文政期(1804〜1830年)に造られた庭園とのこと。
庭を造ったのは、骨とう商を営んでいた佐原鞠塢で、交遊のあった江戸の文人墨客の協力を得て、旗本、多賀氏の元屋敷跡である向島の地に、花の咲く草花鑑賞を中心とした「民営の花園」(3000坪)を造り、開園した。
開園当初は、360本の梅が主体だったが、ミヤギノハギ、筑波のススキなど詩経や万葉集などの中国、日本の古典に詠まれている有名な植物を集め、四季を通じて花が咲くようにした。
「百花園」の名称は、一説では、「梅は百花に魁けて咲く」または「四季百花の乱れ咲く園」という意味でつけられたものとか。
園内は秋の花が見ごろではあるが、春から夏にかけて咲いた草木の実が同時に見られる時期でもある。 |