D90が観た画像  d90-21045

東京都台東区上野公園13−9 東京国立博物館
撮影日 :  2021−3−10
日比谷家伝来の古今雛
日比谷家は江戸を代表する豪農で、「日比谷区」という名の起源ともなった名家だ。
東京国立博物館の雛人形の扱いは、個人蔵扱いで、「日比谷家ご寄託」のお雛様である。
このお雛様のすごいところは、江戸製である。 江戸時代には内裏雛は誰々の作、五人囃子は誰々の作というように、購入時期が異なり、江戸製雛人形(古今雛)の内裏雛は、日比谷健次郎が長女「しん」の初節句のためにあつらえたものである。 箱書きに「安政七年 春三月」とある。 まさに、「桜田門外の変」のあった時。
当時、商品として売られていた雛人形には、大きさに制限(高さ 8寸)があったが、それよりかなり大きな特注品(目測ではあるが、男雛の総高は35〜40センチ程)である。
作者は不明ではあるが、当時、流通していた雛人形とは別の風格を有する。 その後に三人官女、さらにその後、五人囃子・・・と、買い揃えていったが、後年になってみれば、結果的に全品が同じ作者になったもの。 この点で、この江戸製雛人形(古今雛)は、つまり美術的評価とともに、歴史学や文化史の上からも貴重な史料と評価することができるである。

------------------- 東京国立博物館の研究員:三田覚之氏 --------------
しかし、寄託された当時、このお人形はかなり傷んだ状態でした。
髪は抜け落ち、道具はバラバラで、台座の漆もバリバリと剥がれ、セロハンテープで固定されていました
また頭髪の再生については専門家の技術が必要であるため、古い人形の修理にも精通されている博多人形作家の中村信喬(なかむら しんきょう)氏にお願いしました。
五人囃子のかぶっている侍烏帽子(さむらいえぼし)については静岡の人形師である望月勇治(もちづき ゆうじ)氏に新調をお願いしました。