D90が観た画像  d90-21053

新潟県村上市小国町
撮影日 :  2021−3−18
村上伝統の塩引き鮭・・きっかわの製造工場
「町屋の人形さま巡り」のついでに、「鮭の吊るし」が写真に撮れるかと心配していたが、お歳暮用の「新巻鮭」は終わったものの、その後は「鮭の酒びたし」を作るので、製造所に行けば年中見れるらしい。

ここで、「新巻鮭」は一般的な呼び名で、北海道・東北・その他で、表面に塩を擦り込みすぐに出荷され店頭に並ぶお歳暮用のものを言い、村上では「塩引き鮭」と言う独特な製造方法を持っている。

秋に獲れた鮭は、魚体をきれいにするためエラや内臓を取り出しますが、武士の本分としては「切腹を嫌って」腹部を一ヶ所残して切る「止め腹」にする。 下ごしらえが済んだら、魚体の適量の塩(魚体の7〜10%)を擦り込み約1週間寝かせたあとは、たっぷりの水の容器に魚体を入れ約8時間塩抜きをしてから尾びれを上にして干す。
城下町でもある村上では鮭に「切腹をさせない」「首つりをさせない」と、独特の加工法で塩引き鮭を作る。  この時期は北西の風が吹き、気温7〜10度前後で湿度75%〜80%になり、約2週間吊るした頃が食べ頃となる。
この様に「塩引き鮭」は、適量の塩加減と約2週間の寒風熟成により、塩と鮭のタンパク質が発酵してアミノ酸に変わることによってうまみ成分が醸成され、新巻鮭とは違ううま味が味わえる。

「塩引き鮭」の一番の需要は、毎年7月7日に行われる370年の歴史のある夏祭りである。 絢爛豪華なオシャギリ(山車)を出してお祝いする。 その時のお祭料理を飾るのがその家の自慢の鮭料理(鮭の酒びたし)だ。  冬の寒さで乾きが進み、春の風で旨味が醸成され、梅雨を越し、初夏を待ってようやく完熟する。
その為には、「塩引き鮭」はカビや雑菌が心配である。
春先から夏場に掛けては、合計10回ほど、水洗いをし、塩をふり、水洗いをして、乾燥発酵させると言う。
10回と言うと、3週間に一回程度の過酷な労働となる。
今日現在(3月18日)工場の天井に吊るされていた鮭は、2週間前に一連の作業を終えたものだそうだ。

工場の片隅で、「塩引き鮭」の製造工程がビデオで流れていた。 ⇒ ご参考になれば。