| 10月の栞 『渋峠 長野〜群馬県境』
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途中、休憩を取りながらも、13時には長野県と群馬県の県境渋峠についた。草津白根山周辺は「警戒レベル2」が発令中で、白根山方向には時間規制で通行できない(16時30分からゲートにて閉鎖)。よって、すごく遠回りにはなるが、万座温泉から有料の万座ハイウエー経由で嬬恋高原を通り軽井沢に出るしかない。それでも、この日の終了を渋峠で迎える覚悟でいた。理由は「夕日の丘」からの文字通り「夕日」を拝みたかったからだ。夕日が沈むのは16時過ぎだから撮影中に、草津方面へのR292は閉鎖されてしまう。10年以上も前にここを通ったときには「夕日の丘」には立ち寄ってはいないので、今回はこの小高い山に登り360度の展望を満喫したいと思った。
「夕日の丘」と言っても、別段案内板があるわけでもなく、そこに車が止まり、人が山の頂上に確認できなければ、通り過ぎてしまうかもしれない。むしろ高山植物を踏み、人が道を作ってしまっていることの方がいささか疑問だった。入り口もわからなければ、道案内もない。だから途中で道が二手に分かれていたり、岩の角に足をかけて手を使って上る場所すらある。自分はさすがに「白レンズ」一本のみでの山登り。小学低学年の子供がすいすい上がって行くのに、自分は息も絶え絶え。標高が2000メートルを超え、空気が薄いせいにしたかった。普通なら10分かかるかかからないか程度の短い距離だが、雨上がりは大変滑りやすいし、先のとがった瓦礫が多いので、思わぬ怪我にも気を付けなければ、と老婆心ながら感じた。
惜しくも夕日が沈むころに、西の空にやや厚めの雲が居座ってしまったので、きれいな写真はお預けとなってしまった。しかし、刻々と変わる気象の変化には、心打たれるものがあった。ふと気が付くと、渋峠方向が雲で覆われたり、夕日が低い角度で木々を照らす様には感動した。白根山方向を撮影しているときは、噴煙を上げるさまが硫化水素ガスのにおいを思い出させてくれた。しかし、ここからの一番の眺めは、剱岳〜唐松岳〜白馬、乗鞍方向だったかも。同じくらいの目線で見渡せるのは、贅沢としか言いようがない。やがて男子大学生2名に撮影依頼をされたのを最後に、ここは貸し切りとなった。刻々と移り変わる景色を存分に楽しめた。17時も過ぎると辺りはどんどんと暗くなっていった。さすがに一人でこれ以上いても怖さが増すだけ。足元もおぼつかなくなっていく。慎重に崖を下りる。299号を走る車もほとんどなくなり、かすかに赤みの残る西の空を眺めながら、万座温泉目指して292号を下った。
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