相棒の栞  モバイル版

山梨県甲州市勝沼町菱山
撮影日時 : 2020−4−6
4月の栞 『JR中央線「勝沼ぶどう郷駅」の桜』
「釈迦堂遺跡博物館」から乙ケ妻までは30分もあれば十分。「これなら早めに行って夕景から撮影できるな!」なんて呑気なことを考えながら、R20号線を横断してフルーツライン(広域農道)を北上する。この道、見通しも見晴らしも大変いいし、それなりのアップダウンもあって飽きることはない。左手のピンクの絨毯を眺めながらでも、見通しの悪いカーブもないから余裕。急いでもいないし、車がほとんど走っていない。ゆっくり走ったところで、後ろから来る車に追いつかれることもない。そんな「キョロキョロ」が祟ってか、見つけてしまったのが運の尽き。桜に包まれた「旧・勝沼駅」のホームを!眼下に見てしまうと、「オー凄い!」と思わず独り言。時間的に多少の余裕があるという心のスキを突かれ、つい寄ってしまうことに。

駅利用者用駐車場に車を停め(利用者ではないけれど。すみません)、向こう側にしかない改札口へと歩く。明治時代に造られた歩行者用(以前は車も通る道路だったとか)トンネルをくぐって駅前に出る。トンネルを出ると、満開の桜が出迎えてくれた。タクシーが2、3台止まっていたが、こちら側にも何台かは駐車可能だった。「勝沼ぶどう郷」駅(平成5年、勝沼から改称)とりあえずは電車の本数や撮影に適した場所など全く予備知識なく、遺構となった「旧・勝沼駅」ホームに向かう。ラッキーなことにカメラマンが一人、鉄道工事用の無線を聞きながら立っていた。「電車来ますか?」無遠慮に声をかける。「もうすぐ来ます!」との返事。時刻は17時を少し回ったころ。太陽があと少しで山の稜線に姿を隠そうとしていた。思いっきり角度がほとんどない傾斜光(水平光)、しかも思いっきりオレンジ色。桜のピンクなんかどこかへ吹き飛んでしまいそう。長々とした影が、地面にくっきりと、まだら模様を作る。そこを通る電車の車体も明暗のはっきりしたまだら模様。確かに、この時間帯でなければ撮れない独特なシーンだけれど、こうなると桜のシーズンこの駅に一日中張り付いて、光の変化を楽しみたいものだと思ってしまった。

この駅の乗降客は数えるほどだし、満開の桜が咲く「旧・勝沼駅」のホームを訪れる人もわずか。そんな中、女子高生の二人連れがスマホで盛んに桜を撮っていた。「今日、学校あったの?」と尋ねると「はい」と言って振り返る。「マスクしていないけれど大丈夫?」。「さっきまでしていたんですけどー・・・」。と、少し気まずそうな返事。「写真撮ってくれますか?」とのリクエスト。そう来なくちゃー。勿論自分もリクエスト。時間さえあれば、もっとストーカー?していたかったけれど、「乙ケ妻のシダレザクラ」が待っている。気が付けば、さっきの「撮り鉄」さんは遥かホームの先、急いで追いかける。彼がいなければ、どっちからどの種類の電車が来るかわからない。ホームのアナウンスも聞き取れないわけではなかったが、鉄道用工事無線は「下り電車接近」とか「上り下り接近」などと生々しい感じで教えてくれる。普通電車は停車するので問題なく撮影できるが、特急電車はそれなりのスピードで通過するので簡単ではない。桜とコラボするのは意外にもタイミングが難しかった。お見せするような撮影はできませんでしたが、失敗作を承知でアップいたします。18時に近かったので、もう少しここで粘るという「撮り鉄」さんにエールとお礼を言い、お別れした。最後の仕上げの「乙ケ妻」のライトアップは、期待と気合が入っていたせいか疲れを感じることなくフルーツラインを北上した。

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