| 4月の栞 『乙ケ妻シダレザクラ(ライトアップ)』
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旧・勝沼駅で声を掛けた「撮り鉄」さんとエールを交わした後(彼はそのまま場所を変えることなく電車を撮り続けるとのことでした。)、急いで乙ケ妻へ向かった。もっと早く到着したかったのだが、勝沼ぶどう郷駅の予想外の見事な桜に足を奪われた感じ。既に太陽は山の稜線に姿を隠し、桜の周りには3、4人のカメラマンが三脚を立てスタンバイしていた。すでに照明に灯が入り、マジックアワーを待つばかりだった。風は日中よりも弱く、条件は悪くなかった。富士山はかろうじて見える程度で、写真にその姿を写すのは少し難しかったが、今日ばかりは、このシダレザクラの雄姿を目の前にしてしまうと「日本一の山」はどうでもいい感じがした。ライトブルーからダークブルーへ空の色が変わるにしたがって、シダレザクラを照らすライトの光量が威力を増す。その絶妙な色のバランスが最高潮に達するのは、ほんのわずかの時間しかない。「マジックアワー」とはよく言ったものだ。静寂の中、カメラのシャッター音だけが、やたらに響く。甲府盆地の街の灯りが、シダレザクラの遥か遠くに目立ち始めるころ、空は漆黒となり、星が輝き始める。その頃になると、なぜかカメラマンは自分を除き、全員丘を下りて行った。
30分ほど誰もいない世界が広がってくれた。一通り周囲からの撮影を終わって、改めてじっと桜を眺める。この間、悠久の時間の流れを感じることのできた貴重な時間だったかもしれない。事前の情報では、見ごろになると平日でも10人ほど、土・日は20人ほどのカメラマンが来て、駐車待ちだそうだ。おそらく後方に人物が入り込んだりして撮影もしずらいのだろう?自粛のお達しがここまで響いているなんて、喜んでいいのやら?。ライトアップに使われている照明は、昔ながらのハロゲンランプ。いわゆる投光器。やや黄色みが強いものの、今どきの青白いLEDと違い柔らかさがある。光度も明るすぎず暗すぎず、満遍なく桜全体を照らしている。多少、桜の色を出すには色温度の調整が必要だが、肉眼で見たものと全く同じ色はなかなか出なかったが、それに近い雰囲気は出せたのではないかと思う。
しばらくして、家族連れと思われる5人がにぎやかに上ってきた。お母さんとの会話で、この近所に住んでいると言っていた。今年5年生になる女の子は明日から学校があるという。友達と会えるのはうれしいけれど、コロナが少し心配だと。各学年30人前後で、一クラスしかないという。クラス替えがないのは、いいのかどうかわからないけれど、この場所から考えれば少子化とも言えないかも?一面の桃の花畑、そして立派なシダレザクラ、自然豊かなこの地にはウイルスなんて寄り付かないことを願う。もっとも運んでくるのは人間なんだが。
三脚をたたもうとしていると、下から懐中電灯の光が一筋こちらに動く。「今頃?」とは思ったが、たまたまその方向にカメラを向けてあったので「シカト」して露光してみた。源氏蛍を連想するような面白い光跡が得られたので添付。また、帰路のフルーツラインで、道路端で急いで撮った夜景も付け加えておきます。 さすがに、もう一度「勝沼ぶどう郷」駅に寄る体力はありませんでした。
入力・釼持理奈 口述・近ちゃんの相棒 |
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