相棒の栞  モバイル版

神奈川県横浜市栄区上郷町
撮影日時 : 2020−6−8(月)、10日(水)、14日(日)
6月の栞 『瀬上沢ゲンジボタル』
昨年、近藤師匠と合わせて延べ6回の現地訪問を果たしたのが瀬上沢。横浜市と言っても元々山坂の多い町。上郷は多くの谷戸が残る。昨年の台風19号の被害は瀬上沢でも例外なく、崖崩れが数か所で起きた。現地を目にすることはなかったが写真で見る限りでは茶色の山肌がむき出しになり、土砂が滑り落ちた感じだった。それが数か所(大規模なのが途中2か所)で発生。今年の瀬上沢だよりを見ると、コロナの影響で仮設トイレの設置がないことが「人に来てほしくない」サインと見た。なぜなら、広場まで歩いたら結構な距離。写真撮影はともかく、蛍を15分ほど眺めたとしても自宅までトイレに行かずに持つか?よほど近所ならともかく。

今年は近藤師匠と一緒に瀬上沢に乗りこむつもりでいたが、師匠から瀬上沢の状況を伝えられ、三島市沢地川への行き先変更を打診された。しかし、その後「瀬上沢だより」を見たら、5日金曜日で400頭との報告があったとか?。昨年よりは少ない(昨年は600頭との情報)とのコメントがあったものの、十分な数だ。そもそも昨年は瀬上池の奥まで行き、もともと少ない場所でゲンジボタルを撮影していたので、飛翔開始直後に途中のポイントにスタンバイさえすれば十分な蛍の飛翔撮影はできるはず。

現在(15日以降順次平常に戻していくらしいが)小・中の公立校は授業が午前中に時間差登校だったり隔日だったりで、18時までに塾を終わらせることが出来る日もある。月曜日がまさにそうだった。18時20分に家を出るも、「コロナは何処へ」の車の渋滞。19時10分前に到着するも、10台くらい車が止まっていて、ここでもマタマタ「コロナよ何処へ」状態。確かに仮設トイレ(市が設置してくれるらしいので、そりゃ無理だわ)はなく、自粛しているようにも見えるが、単なる形(トイレがない)だけ。人もそこそこ歩いていて、蛍見物を兼ねた近所のお散歩コースか?途中までのアスファルト舗装が真新しかったのは土砂の運び出しでガタガタになってしまった為か?。そこから先は路盤材の砂利でかえって歩きにくい。もっとも、暫くまとまった雨が降っていないのか、ほこりが舞うような乾燥状態。少し行くと見たくない景色が飛び込んできた。抉られた茶色の崖が両側の緑とミスマッチな姿で出現。小川は完全に大量の土砂でせき止められたであろうことは一目瞭然。反対側には崩れた土砂が仮置き場と称して積まれていた。100mほど先にもまた同じような光景。HPの写真で見ると規模がよくわからなかったが、もし人がこの崩落に巻き込まれたら何人死亡していただろうかの規模。高さも10メートル程はゆうにあるように見える(規模が分かるように人物を入れて撮影を試みました)。鋭利な石が、小川に残っているのを見ると、かなり急いで川筋だけは通した感じ。蛍やほかの生き物にとっては、一刻の猶予も許されない、人間で言えば血管が切れたようなもの(東急建設も、これはヤバイと思ったことであろう!)。今現在、水はきれいだったが当初は黄褐色の濁った水が流れていたに違いない。ズタズタとまではいかないにしても、カワニナもほたるのたまごも、岸辺の草も、蛹になろうとした時の柔らかな土壌も、味気ない岩石や土に覆われてしまったことを思うと果たして今年は?誰でも悲観的にならざるを得ない。極め付きは、終点の広場だ。小川沿いの道は閉鎖され、迂回する形で東屋まで行くことに。高さ一メートルほどのオレンジのネットの向こうが、いつもカメラマンがずらりと並ぶ人気の場所。アジサイとのコラボで撮影できる広場の一部も今年は無理。折角の蛍も遠目で見るしかない。実はこの広場の上部の崖も崩れていることが蛍撮影をしていて分かった。確かに立ち入り禁止になったのも頷ける。よって、ここまで一旦来た見物客は、Uターンして帰るしかない。やはり昨年の台風と大雨の影響は大きかったと実感して戻っていくことだろう。それでも、小川沿いにはそれなりの蛍が飛んでいたはずで(飛翔開始直後のピーク時間に立ち会っていないので)、21時を回って帰路につく時も、それなりの数が時折飛んだりしていたので、激減とまではいかなかったのは幸いだった。残念ながら、入り口付近には蛍は一頭も見ることが出来なかった。

<10日再訪記>
翌々日の水曜日も18時30分ごろ家を出て、瀬上沢に向かったのだが、到着が19時15分だったせいか、ものすごい車の縦列駐車。ここは駐車禁止ではないらしく、止められれば何台でもOK状態。随分入り口から離れた場所に止めることになった。20台くらいはあっただろうか?去年より来る人が多い感じ。今回は瀬上池の奥にある「漆窪」を目指す。到着時19時30分過ぎ、2名のカメラマンがいて盛んにシャッターを切っていた。皮肉なことに自分が三脚を設置しているときが一番飛んでいた時間で、およそ20頭が数えられた。昨年より多いというのが先着のカメラマンとの一致した意見。なんてことはない、彼とは昨年ここでお会いした顔だった。セットが終わったころには、飛び方が鈍くなり、やがて彼らは21時頃に帰って行った。自分は多少粘ったものの、ほとんど結果が得られないまま撤収となった。21時頃になるとヘイケボタルも飛び出したし、途中の「仲良し田んぼ」でも一頭だけだったがヘイケを確認している。昨年の教えを参考にするなら、ヘイケボタルが出始めるとゲンジも終盤だという。今度、もし来ることが出来るとすれば14日の日曜日、それまでゲンジボタルが飛んでいてくれるかはあまり期待しない方がよさそうだ。
<14日再々訪記>
17時頃、授業をしていると、窓から入り込む光に「先生、眩しい(自分の頭のハゲではない)のでカーテン引きます。」と言って生徒が立ち上がる。予報では雨マークの予報機関もあったし風が7メートルとか発表していたので、今日は大人しく家にいるつもりでいた。が、どっこい、そんなに天気は悪くはない。17時40分に授業を終わらせ、18時10分「瀬上沢」目指して出発。おそらく今年最後の「瀬上沢」だ。水曜日には到着が遅く、準備中にピークだった反省から、少しは空いているだろう道を選択し、少しでも早い到着をトライする。18時50分に到着。今日はカメラも三脚も一台で、「漆窪」を目指す。またしても水曜日の二人連れのカメラマンが先着していた。軽く挨拶をし、準備に取り掛かる。結果、ヘイケボタルはゲンジより多く飛んでくれた。と言っても15頭から20頭と言ったところ。源氏ほど長くは飛ばず、草むらで光っていることが多かった。この日は午前中の早い時間に雨は上がったものの、ここは湿地帯、足場はグチャグチャ、ツルツル、風も時折やや強く吹き(近くで大きな枝がボキンと折れた音を聞く)、これらの影響からか三脚の固定が甘かったようだ。また、悪いことに28ー300ミりの重たいレンズを持参したものだから、ブレブレ写真の大量生産となってしまった。恥ずかしいので約半分を没にいたしました。四日前に比べると、早い時間からヘイケボタルの飛翔が盛んで、ゲンジの数は減少しているように感じた。ゲンジが10頭とすればヘイケは20時以降20頭くらいいはいたが実際に飛んだのは70%ほどが飛んでくれた印象。21時半を過ぎると風が強くなってしまい、全く飛ばなくなってしまった。帰り道、小川沿いのゲンジの数を数えながら歩いたが、目視で10頭。そのうち飛んでいたのが4頭、がけ崩れ現場の下流、民家に近いところで3頭が飛翔していたのは少し意外だった。今年はつごう3回の訪問だったが、今夏は大雨の被害を受けないでほしい。そしてまた来年、今年以上の乱舞を期待したい。

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