| 5月の栞 『阿寺渓谷(その2 熊ヶ渕〜吉報の滝)』
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熊ヶ渕から吉報の滝まではおよそ1,3キロだが、緩い上りになっていて、それ程楽ではなかった。大桑村観光協会の案内図には駐車場は2か所(おそらく終点のキャンプ場にもあるだろうから3か所)しか書かれていないが、実は至る所に車は止められる。勿論、道幅は狭く場所によっては、どちらかがバックするしかない場所も多数だが、それでも所々にそれなりに広い場所があるので、車でそのまま走ってキャンプ場でUターンしてくることも可能だと思う(自分はキャンプ場まで行っていないのであくまでも推測だが)。ただし、これでは「阿寺渓谷」をじっくり見たとは到底言えまい。第一、車では、時々ある怪しげな「けものみち(クマなどが通った後ではなく、人が河原へ降りて行った形跡のある、踏み分けられた道とは言えない通路?うまく表現できず。意味不明?)」は探し出せない。もっとも、こんな危険な(道ではない)道を下りて行こうとするのは、怪我や命の危険を考えれば、そんなにいないとは思う。
2020年9月13日、岩場で遊んでいた22歳の信州大学の女子大生が川に転落、助けようとした27歳の男性医師も死亡した事故はまだ記憶に新しい。9月の流量はどうか分からないが、この日はの「阿寺川」は水量が目茶苦茶多く、来る前まで抱いていた流れが穏やかな、ゆったりした流れとは全く逆だった(あえて例を挙げるなら、エメラルドグリーンではないものの山梨県の昇仙峡に近い)。水温が低いので水遊びを注意する看板は立っていたが、落ちたら水温よりもこの流れの速さでは、まず助からない。その上、この水流の勢いは、大きな岩に容赦なくぶつかり、水しぶきをあげている。あっという間に流されて、岩にぶつかるか、水の冷たさで気を失うだろう。昨年の痛ましい事故のことは知っていたので、十分気を付けていたが、それでも5回も滑るとは、運動能力が落ちたもんだ。しかし、滑った代償に中々キレイな写真も撮ることができましたが。
この区間でのお勧めは、「熊ヶ淵」。近くには車を停めるところもあって入れ代わり訪れる人はあるが、交代で岩の上に立って写真を撮ることになる。偶然、山つつじ?が一株花を咲かせていたのが印象的だったが、やはりここでの見どころは、深さがあるゆえの「阿寺ブルー」であろう。透明度も素晴らしく、水深がかなりあると思われるにも拘らず、川底の石がはっきり見える。それをカメラに収めようと頑張るものの、撮った写真は、肉眼で見るほどの表現力はなく、エメラルドグリーンの水を通して見える川底の石にしても、水面に波立つ川の流れや、渦を巻く模様など撮ってはみたものの、満足なものではありません。単に撮り方が下手なだけで、光線の使い方が習得できていないのが致命的。皆様の想像力をお借りしてご覧頂ければ幸いです。因みに「熊ケ渕」の名前の由来はここでクマが水浴びをしたからだそうで、少し不気味な気がしました。もう一つ余計な事ですが、決して広く無い傾斜のある岩の上で、三脚を広げていたアホがいたが、彼自身だけでなく機材の滑落の可能性をわざわざ増幅させるだけで、狭い場所故、ほかの人のことを考えると、ここは手持ちで我慢すべきであろうと思った。実際自分も三脚持参など微塵も考えなかった。
「熊ヶ斑」から「牛ヶ淵」にかけては、探せば「下に降りられるな」と判る、先人?が踏みしめた落ち葉や、滑った形跡のある、むき出しの土を発見できるのだが、あまりお勧めはできません。落ち葉はたっぷり水を含んでいるし、粘土状の土はツルツル、ここで5回中3回滑ったことを考えると、自己責任以外何とも言えません。しかも、このあたりになると、考えられないほどの大きな石がゴロゴロし、その間を下流に比べても明らかに流れのはやい水が流れています。なるべく迫力ある水流を撮影しようと、調子に乗って大きな石に飛び移ることはできても、足を滑らせることは大いに考えられます。また、河原に転がるの直径10センチから20センチくらいの石でも、慎重に歩かないとグラついていたりして、足を挫くことも考えられます。何かあった時は、だれも助けてくれないので一人で行くことはやめた方がいいかもしれませんが、かと言って仲間と行ったところで、かえって連れのことが気に成ることもあるし、万が一事故にあっても助けられる能力はほとんど持ち合わせていないと言ってよく、携帯の電波は来ていないし、いざとなったら、入り口付近の民家か、上流のキャンプ場まで辿り着かなければ連絡の取りようがありません(入り口付近は携帯が繋がるという案内があるようです?)。一番安全かつおすすめな撮影場所は、「野尻向林道(閉鎖中)」へつながる橋の上から下流方向に凄くきれいなグリーンを発色している箇所を撮ることです。
ここから700メートル、最後の気力を振り絞って、「吉報の滝」へと向かう。途中雨がぽつぽつ来たので、一瞬やめようかとは思ったが、ここまで来たのだから…と思い、ゆっくりと歩を進める。しかし、「吉報の滝」は対岸にあり、半分以上草木に覆われていてその全容を見ることはできなかった。24〜105ミリを最大にして撮った写真なんか、肉眼で見るよりもっと草木に覆われて、まともに「滝を撮りました。」とは言いにくい。仕方なく、出番はないだろうと思っていたリュックの中の100〜400ミリを出して、4分割程度で滝を切り取る。それでも、今一。もし、次回訪れることがあれば、わざわざ足を運ぶに及ばないか、車で来て対岸を眺める程度で良さそうな感じ。この滝がもし真っ赤なモミジでおおわれるなら、それはいいかもしれません。晩秋以降、葉が落ちた時でないとまともに滝の道筋は見えまい。
今回は、6キロほどの道程の上流部分に当たる約半分を歩いたのだが(往復で6キロ、途中での河原降りや吊橋を渡っての周遊を含めればそれ以上)、今度は、10月下旬の紅葉の季節を狙いたいとは思う。ただ、いつ実現するかは全く自信がない。「カメラのキタムラ」のTさんが仰るには,「新緑の季節が一番きれいです。」と言っていた。それで、また迷っちゃうんですよね。
一つ言えることは、規制がかかる夏休みシーズンだけは、上流のキャンプ場が、かなり賑わうらしいので、絶対に避けるべき。阿寺渓谷は、「阿寺ブルー」の川の色と流れる川音だけを聞いて、大自然の中をゆっくりと歩きたい!! |

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