相棒の栞  モバイル版

新潟県小千谷市片貝町
撮影日時 : 2023−9−10
9月の栞 『片貝まつり花火2023 (浅原神社奉納祭)』
毎年、9月9日と10日に開催される浅原神社奉納花火大会。今年は土日と重なり、コロナ明けもあり相当な混雑が予想された。自分としては、日曜日に開催されると言うラッキーが重なったおかげで、久しぶりの観覧となった。

10年ほど前、教え子の中3三人を連れて出掛けた事がある。ギュウギュウ詰の境内の有料席は、自分の他、男子一名、女子二名。今なら身体が触れてしまい、わいせつ行為とかチカンだと騒がれそうな混み具合(女子の1人はスレンダーの長身、もう1人はふっくら型のボ○ン)。勿論、ここ数年のコロナ禍ではこの密集はあり得ない。名物アナウンスの横山さん(勇退され今はもう聞けないが)の楽しい進行が印象的だった。ただ、奉納花火なので仕方がないが、人混み大嫌い人間にとって、境内の有料席は「ごめん」だと思った。勿論撮影なんて出来なかった。

片貝町は、付近には田畑が広がっている。祭りの雰囲気を味わえない代わりに、大袈裟に言えば、花火撮影はこの水田の何処からでも可能だ。この日、自分も信濃川沿いの公園に車を止めて、関越自動車道の内側まで歩く事を考えたが、予定より早く12時に着いたので、13時開放の片貝バイパスの700台可能な臨時駐車場を走ってみた。ところが、ほぼ初観覧に等しい悲しさか?「長岡南越路スマートインター」を降り、片貝バイパスに入ると、駐車可能な車線は反対側だった。しかも、ほぼ一杯。ただ反対車線を走ったおかげで数カ所の空きは確認できた。農道に入り関越自動車道の側道を走り、バイパスに合流。空きスペースは、かなり前方しかなく、見つけたところに迷わず縦列駐車。教習所のアレ。バックで左側縁石に近づける。左フェンダーの先が前の車に被ったら・・・。一般道なので後ろから車が来ていて、かなり慌てる。  

片貝バイパスに止められた嬉しさにホッとしたのか?疲れがどっと出て一眠り。おかげで14時打ち上げの「真昼の三尺玉」を見損なってしまった。最悪の場合、撮影は片貝バイパスに止めた車のサンルーフを開けてするつもりで居たのだが、どうにもエアコンをつけて仮眠していても暑くてたまらない。アスファルトの照り返しも有るのかも知れない。暑さに車から追い出される形で浅原神社迄歩くことにした。スマホで1.3キロと出た。時間は腐る程あるので、水筒下げて取り敢えず場所取り用ボロシート(雨が降る可能性あり)持参で歩く。

神社に近づくにつれ、祭りの雰囲気が充満してくる。断片的に10年ほど前を思い出す。若い子は本当に屋台(露天)が好き。太鼓の音、祭り屋台、筒引きの通過で益々盛り上がる。爆竹の音でビックリして振り返る。境内は、入場券を購入した人しか入れないから手前で引き返す。所々に三脚も立っていたが、場所探しはどうでも良かった。しかし、である。三脚が数本立っている反対側に、のんびり椅子に座る年配の人を見つけ声をかける。すぐ裏の家に住むと言う、その方はとても親切な人で、ここからの花火の見え方は申し分ない事を教えてくれた。「スピーカーがついたから、プログラムの読み上げも十分聞こえるよ!」 「三尺はあの右にある電柱あたり、四尺は尺玉と大体同じ2本ある電柱の真ん中からだ。一人ならここを提供してもいいよ!」とまで。ただありがたい「お言葉」ではあったが、道の反対側では電線がモロに入る。たまたま向かいの場所で、狭いものの空いていたスペースがあったので、シートを敷く。この位置だと10台ほど並んだ簡易トイレや、鉄パイプで組まれた簡易桟敷席に人が座ると、提灯の列が見えなくなるなど、マイマス要因もあったが、こんな近くで場所確保が出来たのだから目を瞑ることにした。結局、両方とも殆ど影響はない部類だった。

一旦車に戻り腹ごしらえをした後、17時も過ぎた頃、機材を持って先程の場所に戻る。既に大変な混雑。道路に座る二重三重の人で、先程とは打って変わった光景。住人の車が時々通るので、難儀。後ろに座った人に三脚を立てる旨の了解を得る。一通りセットを終えた頃、埼玉県から来られたと言うお母様と娘さん2人と会話。やがて、取り出したのかEOS RP?と50ミリ単焦点(ミラーレスであることは間違えない)。三脚はタコの足みたいなグニャグニャのミニ。どう考えても高さが足りない。初め、お母様の頭の上にカメラを載せて手押しでシャッターを切っていた。やがて、敷物に使っていた段ボール箱を組み立て直し、簡易椅子の上に乗せ、ミニ三脚にカメラをセット。それでも手ブレするだろうと思いきや、スマホをレリーズ代わりに無線で飛ばし始めた。撮り方は少し教えたが、この高校生か大学に入りたてくらいのカメラ女子、頭がいい!対応力抜群!50ミリなので花火本体しか撮れないが、モニターを見てみると、ピントも画角も露光のタイミングもバッチリ。センスも十分。恐れ入りました。

言うまでもなく、単なる花火大会ではなく、浅原神社奉納花火なので、全体を通して明らかに雰囲気が違う。4尺や3尺に目が行き勝ちだが、片貝中学校の卒業生による卒業回数(期生)や厄年ごとのスターマインの打ち上げは、心を打たれた。仕事や結婚などで片貝を離れたとしても、故郷を思い、打ち上がる花火は、スターマインそのものの出来具合もさることながら、打ち上がった喜びと、その花火を今年も見られたと言う思いが重なり、尚且つ天国にいる同級生をも偲ぶことができる、一つの「証」として、全くもって部外者である自分でさえ、ジーンと来るものがあった。隣でその花火が打ち上がるのを待っていた、おそらく片貝中学校卒業の方であろう年配の男性が「良かった。無事上がった・・・。」と言う独り言は、今も忘れない。

三尺玉の地上爆発、4尺玉の歪な形、そんな事はどうでも良いに等しい。片貝花火は、花火大会では無い。奉納花火なのだから、神様が、そして地元の方達が、しっかり受け止めてくれれば、それでいい。そんなことを感じられた浅原神社奉納花火でした。

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