11月の栞  『SL只見線紅葉号』

三ケ日のK氏と知り合いになったのは4年ほど前、場所は伊豆下田。
黒船祭りの花火大会会場でロケハンしていて、二人とも初場所ゆえウロウロ。
丁度電飾が綺麗だった黒船を前にしてバックに花火、と洒落込んだのだが、打ち上げ寸前に消灯、笑えない失敗をした事がきっかけ。
それ以降、中京地区の花火大会では幾度と無く情報提供は勿論、場所取りをして頂いている、使える大切な仲間のお一人。
そんな彼は、元々は鉄ちゃん、そう『撮り鉄』。
8日の長島スパーランドの花火でも、直接お会いして撮影場所を決めたかったのですが、福島へSLを撮りに行くと言われ、丁寧な長島花火の撮影場所の案内をメールで送ってくれました。
長島温泉の花火大会は、W氏運転のプリウスの助手席で往復600キロもの間、運動不足がちだったので、今日は早朝6時出発で会津へ。
しかし天気は下り坂、昼ごろから雨、時々強くの予報に躊躇。
紅葉号は11月の8、9日限定でしか走らない。
花火も同じだが、「最初の撮影は失敗して次に生かす」が鉄則。
『撮り鉄』も多分同様、失敗しにノコノコ福島まで出掛けることにした。

磐越自動車道を会津坂下(ばんげ)ICで降り、只見川沿いを走るのは多分初めて。
昔、唯の走り屋で日光から日塩紅葉ライン経由R352を桧枝岐村を抜け、奥只見湖を右手に見ながら小出まで走った事はあったが、西会津は方面は記憶が無い。
ましてや只見線が何処をどう走っていて、現在何処から先が不通であって???、駅名だって会津若松、西会津、只見、小出位しか知らない。
撮影ポイントは一杯あると調べて解ったが、動くものを先回りして撮るのだから、時間が全て。

10時過ぎにインターを降り、49号沿いのコンビニに寄り朝飯代わりのおにぎりをほおばった後、会津坂本駅に向かう。
西も東も判らない者にとって、駅単位で時間を確認し、辺りを探るしか撮影ポイントを絞る方法は無い。
駅付近に来ると、国道左に広い駐車スペースがあり、何台かの県外車が止まっていた。
ナンバーを見ると大阪、八王子、土浦、etc、『撮り鉄』に違いなかった。
早速車を止め、線路の方向に走る。
ドンピシャ!幅が2メートルほどの小さな踏切辺りに10人ほどの人だかり。
がっちり三脚を構え望遠レンズのカメラマン、後ろの人は脚立に乗ってのスタンバイ。
自分は念のため24〜105装着のカメラだけはぶら下げていたが、ロケハンのつもりだったので、全くの準備ナシ。
一端車に戻っても良かったのだが、いつ来るのか正確な時間はわからなかったので、迷いながらも手持ちで撮る決心をし、SLを待つことにした。

第一、今更三脚を取ってきたところで、立てられる場所も無ければ、セット時間も怪しい。
やがて遠くに汽笛の音が聞こえ、踏切の遮断機が警報音と共に降りた。
私はしゃがんで遮断機ギリギリのところで被写体を待つ。
以前群馬で、SL水上号を撮影した事があったが、この緊張感が何とも言えない。
残念な事に土手に足を取られてしまい、水平を保つ事が出来なかったものの、何とかピントが合い、撮影成功。

この後、急いで第三只見橋梁まで走ったのですが、物凄いカメラマンの車で、駐車スペースが無く(元々山あいのスノーシェイドが続く上り坂で、山と谷が迫る狭い場所)、反対側の旧道の木立の間からピンボケを撮るのが精一杯でした。
おそらく、ここでの撮影だけを考えて、相当早くから来て、車を止めなくては駄目なのでしょう!?(教訓その1)。

11時半ごろになって予報通り、小雨が降り出し、未知の場所での行動範囲がますます狭まる。
SLは11時52分、終点の会津川口到着予定なので、R252を左右キョロキョロしつつも濡れた路面に気をつけながら走る。
別に到着前に着く必要は無く、転車台で向きをかえるのを撮りたかっただけ(こちらは、動画にてじっくりご覧下さい。手持ちですので少し見にくいです。)

機関車が向きを変えるための装置は、子供の頃図鑑で見た事はありましたが、実際は記憶なし。
自分が小さかった時、蒸気機関車に引かれた客車で煙をかぶった経験は無いので、おそらく初めて見る光景。

何人もの作業員が声を掛け合い、安全確認をしながら行う作業は、速さと利便性だけを追求してきた今日では、人と人とのつながりの大切さを思い起こさせてくれる、貴重なワンシーンだと感じました。
一連の作業のバックに流れる蒸気を吐く音は、これこそ最高のBGMだったりするのです。

14時を回ってから雨脚が強くなり、第四橋脚を渡るSLを離れた場所から撮影したのですが、鮮明さに欠けてしまいました。
視界が悪い時は、いくらその場所が撮影ポイントでも、近接箇所に変えるべきと言うのが、教訓その2かな?

会津宮下で紅葉号は5分ほど停車、此処もかなりの鉄ちゃんが車を止めます。
私は少し先の郷戸という小さな駅に先回りして動画でSLを撮る事にしました。
此処にはカメラマンが一人しかおらず、こんなに気を遣わずに撮影できるのなら、撮影ポイントを外す事も考えた方がいいというのが教訓その3。
準備不足が続き、ここでも白レンズの28〜300ミリを手持ち撮影したのでユレユレのピンボケです。

最後に会津若松駅へと車を走らせたのですが、雨は降り止まず、辺りは暗くなるのが一層早かったので撮影を断念して帰路につきました。
初めての場所でしたから、自分としては収穫ゼロを覚悟して行きました。
師匠の懇切丁寧な、紹介写真に比べれば、興味本位の撮影ですがこれが精一杯でした。

来年、ある程度天気が期待できれば、頑張ってみてもいいかな?と思いますが、たった二日しか走らない被写体を追って、この混雑と、何処にでもいると言ってしまえばそれまでですが、一部の無神経な人のマナーの悪さには、いささか閉口する思いです。

撮り鉄のマニアからは、「いちいち、そんな事でムカついていたら、いい写真は撮れないよ。」と言われそうですが、一つだけ事実を記して警鐘とさせていただきます。

それは会津中川駅手前での事。
田圃の広がる少し小高くなったところをSLが道路と並行して走るほぼ直線区間。
畦道ごとに物凄いカメラマンがいたのですが、そこで急に渋滞発生。
原因は道路左に連なった、撮り鉄の駐車車両。
丁度片側交互通行状態になってしまっていたのです。
別にこれくらいなら何とも思いませんが、駅近くに消防署があるではありませんか!
署員が三人ほど道路端に出て、なにやら会話していました。
その話の内容は勿論わかりませんが、マナーの悪さにあきれていたと思います。
もしこの時に119番通報が入ったら、完全に妨害行為です。
興味本位の行動と、消火及び救急活動とでは、提灯に釣鐘です。

今年8月、蒲郡の花火大会で、横にいた見知らぬカメラマンが言っていた言葉を思い出しました。
「周りに気を配れる人間じゃないと、いい写真は撮れないよ。」と。             

撮影日:201411−9  福島県会津坂下町、柳津町、三島町、金山町にて。

転車台で向きをかえる・動画と煙を吐きながら走り去る・動画

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拡大写真でご覧頂けます。

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