12月の栞  『静岡市梶原公園及び一本松公園の夜景』

静岡県で、最も夜景の綺麗な場所の一つはは、独断と偏見で申し上げれば焼津の高草山へ通じるワインディングロードからの眺めだと思う。
もう5年程前の事だから記憶が曖昧だが、何処から入ればよいのか判らず入り口から迷ってしまい散々だった。
何とかたどり着き、道路脇の少し広いところに車を止めて、(勿論観賞だけなら車中からでもOK)東名高速のオレンジのナトリウム灯を中心に撮影。
今回訪ねた静岡市清水区と葵区(区こそ違うものの、はしごが出来る近さで約1キロ、車で5分ほどの距離)に、高草山に勝るとも劣らぬ夜景が存在する。
ただし駐車場に車を止めて、5分ほど歩く。
いや、歩くでは正しくない。
急坂を上がる。

カメラ機材(白レンズ28〜300)をしっかり背負い、大型三脚を持って階段を上がれば、息が切れないと言ったら嘘になる。
ひ弱な自分なんか、途中ハーハー言いながら足を止めて休んでしまう。
高草山のお気軽度に比べれば、山梨県の新道峠に匹敵するキツイ上り階段だ。
一般的に言えば,熱海城にしろ、富士吉田の新倉浅間神社にしろ、車で上っていく途中が相当きわどい。
アクセスの難易度と眺望の素晴しさは正比例する傾向にある(難易度が上がれば、眺望の素晴しさも高まる)から仕方がないことだが。
今回も深夜の農道アッタク、チョット真剣な運転が必要だった。
真っ暗闇の細い路、ヘアピンの急坂、マニュアルミッションの自分の車でローギアにまで落とさないと急坂を上がれない箇所が3箇所くらいあり、しかも道幅はところどころに退避箇所があるものの、車一台分がやっとのところが殆どで、場所によってはガードレールはなく、少し高めの縁石だけ。
落ちればミカン畑ならまだ良い方、竹林なら竹に引っかかって止まるが、その他の箇所は崖下へどうぞって感じ。
アクセス悪く、息切れ5分の後は、整備された素晴しい見晴らしが、疲れを一気に吹っ飛ばすだけの公園がある。
標高300メートルくらい、360度の夜景と言いたいが、北西側は木々が少し邪魔だし、明かりの量も当然少ない。
駿河湾に向かって、左手側ギリギリに富士山、由比町、中央にJR清水駅、清水港、三保の松原が弧を描き右端に静岡方面と言う位置関係。

梶原公園と、一本松公園とは、遊歩道で繋がっていて、歩きながら駿河湾を眺める事ができるらしい。
東名高速で約2時間、午前1時到着の梶原公園駐車場に車は一台もなかった。
逆に一台もなくて安心した。
折からの強風で、木々がきしむ音、すれる音、草木がざーとざわめく音・・・、とにかく不気味、そこに人でもいたらかえって怖いというもの。
道を間違えたのか、ホントに此処でいいのかと思える、獣道みたいな狭い尾根道を登る。
5分ほどで着くと案内されてはいたが、両脇を林で囲まれ、見通しもイマイチで恐怖を感じざる得ない。
こういうときに限って、ヘッドランプの調子がおかしくなり光量が半減、引き返そうとは思わなかったが、早く頂上にたどり着きたいと気ばかり焦る。
木々の隙間から突然に近い形で、夜景が目に飛び込んで来た時、恐怖からの開放となった。
こうなると誰もいない撮影地は、水を得た魚、夢中で方角を確認し富士山を見つけ出し撮影開始。
今年一番の寒気が入り込んで来ただけあって視界は良好、富士山は遠くに肉眼でもその姿を見る事が出来た。
確かに凄い眺め。
しかしカメラに収めると全くスケールの大きさを感じ取れず、勿体無い限り。
この場に立ち、実際にこの夜景を目に焼き付けられただけでも、十分に来た甲斐があったのだけれど・・・。
一通り撮影し終わり、後ろを振り返ると、そこに墓石がある。
よく見ると、鎌倉時代の御家人で、頼朝に重用された梶原景時が息子2人と自害した場所とあった(西暦1200年ごろの出来事)。
急に、別の不気味さが襲い、あまり長居はしたくなくなって来たのも事実。
急いで機材をまとめ、もと来た道を早足で下り、一本松公園へ向かった。

一本松公園の駐車スペースは車5台くらいだろうか、梶原のそれが道の終点にあり10台以上OKなのに比べれば少し停めにくい。
すぐ横にある、結構急な石段は20段ほどで終わり、その後は歩幅と全く合わない間隔で造られた簡易な階段を足下に気をつけながら上る。
こちらは開けた山道で、見通しも良く眼下の灯りも見えるので、恐怖は感じなかった。
但し、梶原公園よりも若干階段が長いような気がするし、急な感じ。
此処の公園も、きれいに整備されていて、あちこちにベンチが置かれ、東屋もある。
東屋の桁には、A4サイズの写真が10枚近く飾られていて、富士山の写真が多かった。
なぜかこの公園から撮った作品が一枚も無いのには少々拍子抜けしたが。
そんな事より、山頂には『幸せの,鐘』が設置されていてカップル向きの趣向が凝らされている。
こんな処まで車に一緒に乗ってきてくれ、更に急な上り坂をエスコートされながら登る彼女は、相当の決意か?ただ単に夜景好きか?
この夜景と、二人で鳴らす鐘は最高のロマンスに違いない。
眺めは、梶原公園と遜色なく、雰囲気はこちらのほうが若干優れているかも?(別に鐘があるからではなく)。
おそらく若干にしろ、階段がキツイ分だけ眺めもいいし、訪れる人も少ない筈。
カメラマンサイドで言うなら、少しだけ富士山にも近い。
余談ですが、一本松公園に行く時は絶対に瀬名病院手前を右折した方が走りやすいし安全です。
途中でカメラがこちらの要求に応えてくれなくなり(低温のせいだと思います)、明け方を待たずに撤退を余儀なくされました。
人は勿論、意外にも鹿、狸の類にも一切出くわす事なく、静岡でもトップクラスの夜景を独り占めできた満足感は、他の都県へも脚を伸ばしたくなるエネルギーを戴いた思いです。

撮影日:2014−12−2  AM1時〜3時30

作品は、梶原公園と一本松公園の二部構成となっております。
どちらも南(駿河湾)方向を中心に撮影しておりますので、似たような眺めである事は否めません。
梶原公園の夜景   ⇒ ここをクリック
一本松公園の夜景  ⇒ ここをクリック

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