4月の栞 『西蔵王放牧場のオオヤマ桜・蔵王お釜』

4月の後半2回(第三、第四水曜日)にお休みを得られたので、20日は富士山、27日は角館武家屋敷の枝垂れを計画していた。
しかし、既に散り始めとのITの情報。
桧木内川の桜並木は満開と有る。
どうしようか迷う。

天気は西から下り坂、関東、甲信越も曇り勝ちの天気。
出来るだけ北へ行くしかない。
東北といえばもう一つ候補があった。
昨年4月、山形県置賜桜回廊を巡った時、もう一つ山形県で行きたい場所があった。
それが「西蔵王放牧場」で、ここは丁度「オオヤマサクラ」が満開との情報。
仕事が終わって、一睡もせず23時ごろ出たとしても、角館の朝5時到着はチョッと厳しい。
予め、機材を車に積んでおけば終了後30分で出かけることは可能だが、その準備も出来なかったので躊躇。
結局、来年に持ち越すことにし、蔵王に決定。

そうは言っても蔵王とて、近いわけではない。
赤川花火よりは一時間以上は近いが、東北自動車道・村田インターから山形自動車道へ入り山形蔵王ICを降りて約10キロ、午前0時半出発、到着は6時頃(トイレ休憩1回)だった。
ナビがそう案内したので従ったが、何かぐるっとまわされた感じ。
もう少し早く到着して、山麓を斜めに照らす朝日に映える桜を撮りたかったが、やはり山形は遠かった。
もっともこの日、朝のうちは曇り勝ちの天気で、朝日も薄ぼんやりした弱い日差しだったので、どっちみち無理ではありましたが。

走るのが苦でない自分にとって、東北道・福島飯坂ICからR13米沢経由またはR399、白石ICからR457の方法もあったなと後で反省。
とにかく、深夜の高速は90パーセント以上が大型貨物トラックなので、100キロ走行前後で抜いたり抜かれたりしていて、その間後ろにくっついている時間が多い。
ただでさえ高速道路は単調で、気も緩み刺激がないから眠くなる。
トラックの後ろでイライラしているのも何の得にも成らない。

国道も300〜400番代は、新しく作られた道もあることはありますが、昔は県道だったのが格上げになった道も多く、林道にしか思えない山岳路あり、、里山・田園風景有りで、目の前に飛び込んでくる景色を眺めながらの運転が楽しい。
ましてや、深夜の道は小動物や鹿さえ気をつければ、車の量は圧倒的に少ない。
こんなところに一軒家?とか、さすが観光地!とか、なかなか手ごわい道で運転を楽しんだり、刺激と感動を味わえるのがいい!

第一部=西蔵王放牧場
標高600メートル、面積48ヘクタールの放牧場の一部が、5月中旬からの牛の放牧前に一般開放される。
一部開放と言っても、その広さは半端じゃない。
しかも、蔵王連峰龍山の中腹にあるため、、一部舗装路はあるものの、砂利道や登山道のような所を上って行く。
主な見学コースが3つ≪前滝上り口≫・≪うがい場≫・≪鴻の巣沼上≫が有り、残念ながら体力的限界により前2つしか回れなかった。

オオヤマサクラは東北地方の野生種といわれ、ソメイヨシノより赤色(紅色)が強く、花は山桜と同じくらいの大きさの花をつける。
ただ、矢張りそこは山桜、茶色の葉の出方は早く、満開直後から葉が混じる。
今回丁度満開に成ったばかりで、最高の時期に訪れる事ができた。
ただ、前滝上り口(駐車場正面、この放牧場のメインコース)のオオシマサクラは、6〜7年ほど前、この場でコンサートを行った(地元で出会った女性カメラマンの話)で、周囲の土が固められ、桜の勢いが弱まったとか?その後、木の周りに囲いをして根元まで立ち入らないようにしたものの樹勢は回復していないようだった。
現場から引き上げてきたカメラマンにも尋ねたが、三年前よりもっと悪くなっていて、枯れ木も増えたとか。
いずれも現地の人から聞いた話なので、真実なのかは知る由も無い。
個人的には、そこにたどり着いて感じたのは「こんなもんじゃあないか」と。
昔を知らないことがかえってそう思わせたのだろう。
仰々しく、有刺鉄線で周りを囲み、遠目(10メートルほど)からしか桜は拝めないが、保護の為なら仕方がない。

むしろ、早朝から訪れた殆どのカメラマンは中央に位置する「うがい場」と呼ばれる場所に通じる、なだらかな小路を上がっていく。
芽吹いたばかりの草原は新緑が美しく、浅緑色のグリーンに点在するピンク色のオオヤマザクラは一度はカメラに収めておきたい雄大な広がりと、色彩が見事。
ただ、牧草地ゆえ、一部入場可能エリアといえども、土は軟らかく、その上傾斜地、足場の悪さは相当体力的にはきつかった。
さらに、点在する満開の桜をどういう配置で画郭に入れるかについては、初めての場所でなくても結構難しいロケーション。
そのためか10時頃までは、ここを訪れたのは全員がカメラマン。

手入れの行き届いた公園の散歩コースにある桜でもなければ、勢揃いした桜並木が続くわけでもない。
極論すれば、牧草地のあちらこちらに生えている野生の桜たち、「どこに生えていようと勝手でしょ!」とでも言わんばかり。
人の目を喜ばすことも意図していないし、足場の悪さは時として近くまで人を寄せ付けることも拒否している。
難易度が高い事は、カメラマン同士承知の上のようだ。
だからこそ、ここを訪れるカメラマンは気持ちよく挨拶を交わし、前へ出たり、反対側に回って画郭に入り込むことに配慮し、情報提供に吝かではなかったり、マナーは抜群だ。
ある特定の場所が撮影ポイントなら、皆がそこに集まってしまうが、これと言う場所が無い事がかえっていいのだ。
西蔵王放牧場、自然の中にポツポツと点在する桜は、その数の少なさゆえのアクセントとして、逆に目立つ存在となっている。

第二部 蔵王・お釜
西蔵王放牧場で二箇所のポイントを回り、すっかり疲労困憊となった11時頃、続々と見物客の車が上がってくる。
中には、「今朝のテレビで満開だと聞いて慌てて来た。」という地元カメラマンが、撮影を終えて下って来た自分を呼び止めて、撮影ポイントを聞いてきたり、山道ですれ違った、ご夫婦も水分補給していると車の前を通り、湘南ナンバーを見ながら「これから帰るのですか?」と声をかけてきたりで、入れ替えが激しくなってきた。
「これから、お釜へ行きながら宮城県側に下りたいと思っています。ここからどのくらいですか?」と聞いてみた。
「一時間位だよ。」
「じゃあ、昼過ぎにはつけますね。」
「ああ、今日はいいかも?」
「わかりました。ありがとうございます。」
「お気をつけて!」
自分、軽く会釈。
気温は早朝7度くらいまで落ちていたのが20度まで上がり、とても防寒着を着たままでは汗が出て来る。
少し仮眠でもしてからと思ったが、開通間もない蔵王エコーラインの閉鎖時間は17時、有料道路の蔵王ハイラインは16時なので何となく気忙わしい。
重ねて山の天気が安定しているのは、せいぜい午前中、のんびりしていて霧でも出てきたらと思うと、「ウサギと亀」のウサギさんにはなりたくない。
昨年は、蔵王の噴火警報が発令されていて6月下旬の開通、今年は雪も少なく2年ぶりのゴールデンウイーク前の開通となった。
平日なので、車は空いていたが、それでも数台の車がお釜を目指してエコーラインのヘアピンを上がって行く。
雪のカベも思ったほど高くなく、迫力は感じない。
路面さえも乾いていた。
蔵王エコーラインは県道12号線ゆえ無料、ハイラインは4月中390円(5月からは540円)野有料道路。
このハイラインの終点は標高が1750メートルもあり気温はいっきに下がる。
当然といえば当然、少ないと言っても雪はあちこちの残っていた。
お釜(五色沼)までは2〜3分で辿り着く事が出来、アクセスは非常にいい。

レストハウス横の歩道を歩き、道が左右に分かれる地点では(面白いことに)お釜の水面は見えない。
水面の高さは1550メートル、単純計算200メートル下だからだ。
だから初めてここを訪れ、足場の悪い下り坂を下り、お釜のその色を見た人の何人かは歓声を上げる。
実は自分も初めてここを訪ねた一人。
何回か来ている人は「やっと見れた!」と言っていたりもする。
(後日、山形市に御祖父母がいらっしゃる生徒のお母様に、お釜の話をしたら、「今日は見られるかなー」程度の確率だそうだ。)
カメラを構えている自分に、横にいたご婦人が「今日はラッキーですよ!霧で見えない事も多いんだから・・・。」と勝手に話しかけてくる。
「ちゃんと気圧配置を調べてきて、山形は夕方まで快晴に近い事は分かっていますよ!」と威張ったところで印象が悪いだけ、ただ笑ってスルー。
ただ、ここでの写真撮影は、お釜を中心とした写真なので、多少の違いはあれ「金太郎飴」的写真、どなたが撮っても殆ど同じ写真で、腕の良し悪しは関係ない。
被写体が良いので皆綺麗に撮れ、様に成る。
できるだけ湖面中心の神秘的写真より、外輪山の縞模様、旧噴火口のなだらかな勾配など、地殻変動エネルギーの強大さ、その結果できた色彩豊かで、極めて芸術性の高い地表を300ミリでアップしてみました。

明治28年の噴火を最後に噴火はしておらず、昭和14年最深63メートルもあったお釜は、43年には27メートル程となったという記録を読んでも、周囲からの土砂の崩れは激しいなと感じます(お釜の中央右あたりの水際には、上から落ちてきたと思われる、黄褐色の大きな岩も確認できます)。
残された外輪山の一部(左側)、旧噴火口跡(お釜右側)などをじっと見ていると、火山の不気味なほどの凄さを感じることも出来ます。
さらに世界でもここだけと言う、水深10数メートル地点は水温2度ほど、それ以下の深い所は逆に水温が高いと言うのも地下の火山活動が何らかの影響をしているのでは?と思ってしまいます。
ここからは濁川と言う川が流れ出していて、途中名前を変えながら阿武隈川に合流、太平洋に流れているそうです。
強酸性の水質は水生生物を拒み、又いつか蔵王の噴火警報で我々人間までも立ち入りを拒んでしまうかも分かりません。
快晴の空の下、この形をカメラに収める事ができ良かったと思います。、

14時過ぎ車に戻り、遅いランチ(と言っても菓子パンですが)タイムとしました。
レストハウスには名物のとんかつや、串団子もありましたが、丁度到着した神奈川中央交通バスからクラブ・OOOの観光客が降りてきて混雑していたのでパス。

雪のカベが残るエコーラインを駒草平(高山植物のコマクサの群生地)まで下りて来る途中から急に濃霧が発生し、少しの間車のライトをつけても対向車の発見がかなり遅れる状態が続いた。
コマクサ平で、蔵王連峰、不帰の滝、振子滝などを撮影しようとしたがそれは叶わず。
矢張り、山の天気は急変するもの、かえってお釜での撮影が上手く出来た事に感謝しながら麓までヘアピンカーブの連続する12号線を慎重に下りた。
白石市街に入ると、霧はすっかり消え丁度夕暮れ時、どこか捜せば桜が満開の場所もあったのかもしれないが、歩きすぎて今にも足が攣りそうな状態だったので、おとなしく帰路につくことにした。

撮影日:2016−4−27  山形県山形市神尾及び宮城県苅田郡蔵王にて

作品は以下の二部構成となっております。
第一部・西蔵王放牧場
第二部・蔵王お釜(五色沼)

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