7月の栞 『富士山ヒメ蛍』
| 山中湖のヒメ蛍へ出向くつもりだったが、日曜日にも拘らず仕事が入ってしまい、出発が遅れた。 22時出発では、最低90分はかかるので23時半到着になってしまう。 人気のない別荘が点在する地だから、余り遅くに到着するのも気が引けた。 最近は、センサーライトは言うまでもなく、防犯カメラまで付いているので、へんな時間に通行して通報されても困る。 一般的にホタル撮影の場所は、厳密に言えば、どなたかの私有地である事も多いので、地主の方の気持ち次第では、とんだトラブルになっても困る。 御殿場市街を抜け、国道246号を直進すれば山中湖、左折すれば冨士山。 ホタルもアジサイも今年は一週間ほど早い、そう思うともしかして、西臼塚も? 一瞬そんな思いが頭をよぎり、246号を左折し、昔の表冨士周遊道路(現冨士山スカイライン)へ。 あそこなら道路端だし、広い駐車場もあるから、何時到着でもOK。 場所はいくらでもある。 ここは奥まで入ると本当に真っ暗なので、周りの木々の映り込みにも相当の露光が必要。 尚且つ、怖い。 かといって、駐車場近辺だと、通過車両の物凄いライトの明るさで、ヒメ蛍の光跡などぶっ飛んでしまう。 昨年は、ここでの撮影の難しさを感じていたので、敬遠気味だったのと、都合が付かなかったこともあり赴いていない。 今回、たまたま現着してみると、山開き間もない冨士山を上る登山者のライトが、線になって続いていた。 星も物凄い数が肉眼で見え、これだけでも撮影意欲が湧いた。 車を降りると、なんとピカピカではないか! ヒメの光が! いつも7月20日くらいでは多少遅いことは知りつつ、もう少し早めに来る事ができず、何度も足を運んでいるカメラマンから過ぎ去った飛翔情況を聞くだけに終わっていた。 広大な樹海の中を自由に飛び回っているので、トータルでの数は無数と表現できるものの、「密度的には低い」、と今までは思っていた。 しかし、肉眼では林のずっとずっと奥の方までは確認できないヒメの光跡が、カメラで撮影した後のモニターを拡大してみると、凄い事になっていた。 遥か奥の方で黄金の光が流れているのが見て取れる。 しかしながら、樹木が密集していて、見通しが悪いので、秩父のように黄金の絨毯には程遠い。 なるべく奥までの見通しが良いポイントを恐怖を背中に背負って捜すしかない。 はっきり見える冨士山、満天の星、そしてピカピカの光の点滅、雄大な自然界の一大スペクタクルをここで見ていると、三脚を立て、カメラの画郭を決め、ピントを合わせてヒメ蛍の光跡を撮影しようとしている自分の「せこさ」を感じてしまう。 ホタルさんに、「ゆっくりベンチにでも座って、ぼんやり眺めていた方が心が満たされると思うよ!冨士山も、あんなにはっきり見えるし、星の数も凄いだろ!」と言われそう。 そういう声を聞いた気になり、今年は「いかさま無し」の、「冨士山とホタル」のツーショットを狙うべく、冨士山が見える場所で、尚且つホタルが飛ぶ林の中に入れる所に無理やりカメラを突っ込む事にした。 残念ながら、夜間の短い時間では、ここと言う納得の場所は捜せなかったが、それでもそれらしきモノは撮れたには撮れた。 皮肉にも、別な場所で撮ったものを合成したものでない証拠は、アングルが良くない事(冨士山全体がが入らなかったり)、樹海の奥まで入って行くことが困難な為、近距離のホタルと遠方の冨士山のどちらかが犠牲(ピンぼけ)になること。 撮影の努力の割には、大した写真ではなかった。 F値を上げれば、そう言う問題は解決されるが、それではヒメの光跡が捉えにくいのでは?とその時は思ってしまった(もしかして、光が物凄く近いので、拾えたかも?と後日思った。後の祭りですけれど)。 ISOを上げて試みる方法もあったが、ざらざらのノイズばかり目立つ写真もノーサンキュー。 そんな試行錯誤を繰り返していると、一台のバイクが入って来た。 自分が駐車場を隔てた冨士山を絡めて撮影しているとは知らず、画郭にバイクが入ってしまった。 平身低頭、退かして頂いたが、又してもバイクが冨士山の裾野に鎮座。 もう一度お願いをしたところ、快く「別な場所へ行きます。」と立ち去ってくれた。 申し訳なかったが、彼も「先に来ている人が優先ですから。」と言ってくれその場から闇の中へ消えていた。 その彼と数日後再びお会いした。 残念ながら、その日は満月に近い月の光が煌々と輝き、樹木はまだらに陰影を残し、ヒメは飛ばないし、その上気温も低めだった。 手持ち無沙汰と言う事もあり、長い時間話し込んでしまった。 地元のライダーで、五合目まで行っては夜景を撮ったりしているそうだ。 勿論ホタル情報もふんだんに語ってくれた。 自分も、この場所での持っている情報を提供、遠退いていた足が彼のおかげで、再び来年も来ようと言う気になった。 可能ならば、連絡を取り合って、樹海の恐怖感を分かち合いたいものです(出来ればgome_chiさん、シグマ、35ミリ売らないで持っていて欲しいなー)。 自宅から2時間、そう何度も来られる場所ではないけれど、冨士山の麓にピカピカする自然の営み、毎年一度でも行きたい場所である事に変わりはない。 (今年の西臼塚ヒメ蛍飛翔情況) 7月10日、11日、15日、17日、18日、20日、なんと6回も足を運んだ。 千条の滝同様、自分の目で確認し納得しないと、いつまでも判らないまま引きずってしまう。 そう思って、半ば焼けになって足を運んだ。 実際撮影出来たのは3回ほどで、飛び始めは10日より早かったことは、gome_chiさんからの情報で確認。 18日は月明かりが明るすぎなのか、気温が低かったからか、本当にピークを過ぎていたのか分からず、20日の鎌倉花火の後、再確認のため冨士山を目指した。 小田原〜箱根間で雨、乙女峠を過ぎたら曇り、冨士山スカイライン(県道23)で結構な霧と雨、冨士山御殿場登山口付近から曇り、水ヶ塚駐車場を過ぎて少し走ったら満月が光り輝いていた。 結局18,20日と月光にやられた感じだが、ホタルは矢張り激減していた。 少し前に雨が降ったらしく、樹海の中に入るとポタリポタリッと滴が落ちてきた。 月も明るかったが、それでも飛んでいたホタルは目視で数えられるほど。 指10本で十分だった。 結局三脚も立てずに帰路についたが、今年の西臼塚の終焉を感じることが出来、妙に納得、自分の今年のホタル撮影もTHE ENDと成りました。 撮影日:2016−7−10 静岡県富士宮市粟倉・西臼塚駐車場周辺にて |
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