4月の栞 『身延山久遠寺 (その二)』
| 火曜日の雨は、その日の夜には止み日付が変わる頃にはぼんやり
と月も見えてきた。 身延山久遠寺の宿題を片付けるべく午前3時半に車に乗る。 片道110キロにも満たない距離だが、2時間半近くかかる。 それは新東名、新清水ICを出てから34キロ程で目的地へ着くのだが、国道52 号線は所謂トラック街道。 片側一車線の道を、 大型トラックの後ろについたら運の尽き、30〜 40キロでノロノロ走るだけ。 45分で到着すれば早いほう、 下手すると55分くらいかかる。 それでも、第二東名が出来ただけ、随分早くなった。 以前は海沿いの東名高速「冨士IC」辺りから、すなわち52号線 の起点から久遠寺を目指したものだ。 雨上がりゆえ、ある程度予想 はしていたが箱根峠は凄く霧が立ち込め、伊豆縦貫道、第二東名に 入っても場所によっては霧による速度制限が出ていないほうが不思 議なくらいの濃霧。 新清水ICを下りてからも同様。 久遠寺がどういう情況かは、容易に想像できた。ただそれはそれで、幻想的な写真への期待となる。昨日の風雨で、花は相当落ちたのでは?と思いつつ、久遠寺に向かう 随所で咲き乱れる桜を見る限り、ダメージは少なそう? 5時45分着。 霧が弱い風に流されているのか、自分で生命力を持って動いている のかのように、一定しない動きをしていた。 少し辺りが見通せるように、薄くなったかと思うと、又真っ白になり、それは日の出と共に、より動 きを活発化させて繰り返す。 駐車場から坂を上がり、本堂横から西谷方向を見下ろすと、全くそ の姿が見えない。 その、一面乳白色の西谷方向に向けて、三脚を立てている一人のカメ ラマンと出会う。 おはよう御座いますの挨拶の後、「晴れるのをお待ちですね?」と 話しかける。 実は内心、「このカメラマン、なかなかやるな!」と思ったからだ 。 待てば必ず霧は晴れる。 しかし、そこに居なければ、刻々と変わる動きを捉えることは出来な い。 霧の動きほど、予想が付かないものはない。 そして、その動きは面白さと神秘性を感じさせてくれる。 地元と言うより、「原チャリ(50CCの原付バイク)」で坂を上がってきている様子を見ると、 久遠寺に近い人なのだろう?自分もその横に三脚を並べながら話をする。 二日を置かず、朝夕二回ここに来ると言うその人は、久遠寺のことを色々語ってく れ、境内の撮影ポイントも教えてくれた。 「この霧はチョッと目を離すと、もうなくなったりするからね。 油 断もスキもあったもんじゃあねー。 小便にでも行っててごらん!もう晴れていたりするからね!」(表現が可なり下品そしてオーバー)。 朝から威勢の良いこのおっさん、鼻の下にくっ付いた「鼻Oそ」が 気にはなったが、黙っていた。 この「鼻Oそ」おじさん、頻繁に来ている割には、この日の霧には たいそう感動していたみたい。 谷にまで白いもの(霧)が入り込んで、頂を浮き上がらせている細かな点を指摘し、滅多にない光景の様だった。 それだけ良かったと言う事か?久遠寺枝垂れ桜のリベンジは、霧に包まれた境内を中心に「白い妖精」の動き に傾注してご覧いただければと思います。 撮影日:2017−4−12 山梨県南巨摩郡身延町身延3567 日蓮宗総本山身延山久遠寺境内にて |
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