相棒の栞  モバイル版

静岡県富士宮市粟倉(西臼塚駐車場付近)
撮影日時 : 2018−7−8
7月の栞 『冨士山ヒメボタル7月8日(日)』
昨年に引き続き、今年も西臼へ足を運んだ。
タイミングよく、近藤師匠のご都合が付き、同行していただくこと が出来た。

実は、冨士山のヒメボタルに関しては、未だに恐怖感を完全には払拭できない(死ぬまで無理かもね?)。
県道沿い(冨士 山スカイライン)や駐車場近くなら大丈夫だが、車の光は避けられない。
かと言って10分20分歩けば、真っ暗闇ゆえライトを頼りの探索だが、先着のカメラマンでもいると「灯り、消して!」の声が 飛ぶ。
誰もいなければいないで(熊は出そうに無い)、それは心配ないのだが、今度は撮影中にちょっとした音でも怖さを感じる。
そういう条件下で、何よりの解決策が複数人での行動。
だから、今回近藤師匠が同行して下さると決まって、自ずと林道(ハイキングコース) を奥まで進んでの撮影が可能となった。

本来なら、まだ明るいうちに到着し、探索したい場所が多々有ったのだが、生憎、週をまたいで複数の私立中学の期末テストが入って いるので、16時まで仕事。
ヒメボタル撮影用単焦点レンズをリュ ックに詰め込み、45分かけて18時30分に近藤師匠のご自宅へ 伺う。
海老名からR246を使って、ゆっくり2時間半ほどかけて 冨士山1200メートル付近へ。

明け方、冨士山南東にも、大雨注意報(警報?)が出ていて、瀬戸内を中心とした西日本の惨状を見ると、出発に慎重にならざる得ない。
幸い、大気の状態が不安定な気象状況にはならず、雷の発生もなかった。
もっとも、御殿場市街を抜け、県道23号をアプローチする頃には、想像を超える悪天候に恵まれる事は多々あるので海老名市や小田原市が晴れていても楽観は出来ない。
東冨士演習場を左手に見ながら、早くも富士山を上る登山者の灯りの列が見える。
この時点では今日の天候に問題なし。
水ヶ塚公園駐車場付近でも視界良好。
霧にも鹿にも遭うことなく、西臼へ。
残る問題は、ヒメボタ ルのみ。
21時過ぎにPへ。
当然、飛翔時間には早いのだが、 ここのヒメは、多少早めの時間でも注意して観察すれば、数頭は発光を確認できる。
勿論、カメラに収めてサマになる数ではないが。
この時間から光ると言う事は23時以降の光の絨毯が期待できると言う事。
程なく3メートルほどの高さの木に一頭の発光を確認。
此れで一安心。
もしも、ここでの確認ができなければ、 もう少し高度を下げて探索すればいい。

暗黙の了解と言うか、師匠と自分は直ぐに車に戻り、機材を準備する。
21時10分、今日は二人なので、林道の奥深くまで歩く。
話 しながらの歩行なので、怖さは一人で歩く時に比べて、二割ほどし かない。
40分。
いや、途中で機材を道端に置いて(ここまで来る人はマズいないので盗難に遭う事は無いと思って)、手ぶらで、更に 10分以上奥へ。
時刻は22時を回り、そろそろ光ってもいい時刻 。
それにしても、この日の夜は、とても良い天気だった。
星はくっきり、木々の間から辛うじて冨士山も見える。
勿論ライトを消せば、この先の道がどちらに曲がっているかも判らない。
上空、木立が途切れた場所から眺める星空が、異常に明るく見える。
「あれが北斗七星だ。 天の川はどこだ?」余裕の近藤師匠。
自分は、ここで星の観察をする余裕はなかった。
度胸の点でも探索力でも、体力でも近藤師匠は逞しい。
帰り道の事も考え、おおよそ60分以内のところでUターンする事に。
23時の飛翔を目安にして、今来た道を戻る。
そして、多くの ヒメ蛍がいた場所で30分単位で三脚を構え撮影開始(実際には設定に手こずり、近藤師匠に迷惑を掛け、一箇所に50分ぐらい張り付いてしまったが)。
しかし、矢張りここの撮影は難しい。
兎に角 、暗すぎるのだ。
3分から4分近く露光していても、あたりの木々が くっきりとは写らない。
初め、我々は焦点距離すら合わせられず、 何も写っていない撮影を繰り返す羽目に。
師匠共々、パソコンに入れて、フォトショップなどのソフトで加工したり、パソコン内で腐るほど同 一地点で撮影したものを重ねる事をしない我々は(近藤師匠は手法を知ってはいるが、敢えてそれをせず、自分はパソコンに入れて加工する事を知らない事を理由に、それを好まず)、この場所で撮影した画像が暗いと、 致命傷になりかねない。
初めは、上空が完全に木で覆われている場所を、撮影の最適地と思い選択したのだが、此れがどうもそうではな かった。
近藤師匠が林道を横切る蛍を撮影したモニターを見せてく ださり、ヒントを得た。
僅かに道だけが明るく、 周囲の風景画うっすらと浮かび上がるのだ。

この日は、いわゆる「27日の月」、三日月の反対側がかける月なので、明るさも、月が顔を出す時間も、全く撮影には問題はなかった。
問題があるとすれば、自分の腕だ。
「写らない、写らない」と騒いでいる 時間が30分近くあり、いざ3分半の露光をかけたら、書き込み時間がそれと同じくらいの時間がかかり、尚且つキャノンカメラの撮影中の赤いLEDが、シッカリ写りこむ等、順調な撮影とは間違っても言えな かった。
もう何年も、そして一年に数回来ている冨士山だが、ほんの少し場所を変えるだけで、その場所特有の諸条件が異なるので、今回もそう いう点では、半分は初めての(下調べ的)場所であったと言える。
来年、もしも近藤師匠の都合が付くようでしたら、再びご同行願えればと思います。

<7月14日(土)再訪>
8日に師匠と出かけた時、念のため県道沿いのポイントに車を止め 、ヒメボタルの発光を調べた。
午前2時を回っていたので、飛翔は確認できなかった。
ただ、一週間前探索した時、 高度差にして100メートル以上は林道を下っている。
そこでのヒメボタルの飛翔状況は、むしろ下側の方がより多かったような印象だった。
となると、あと一週間もすれば、 西臼Pも見頃を迎えるかも知れないという判断はできた。
そんな目論みもあって、14日にどんな様子か観察したくて、 再び出掛けたのである。

到着したのが午前零時に近かったが、 この時間ならそろそろ盛んに飛び始める時間だ。
思った通り、確かにそれなりの数が飛び交っていたのだが、3連休の初日とあって車の行き来が半端じゃなかった。
ヘッドライトで照 らされるたびに、ヒメボタルは1分以上発光を止める。
それよりも前に、 車のライトが遠くに見えた段階で露光をやめなければならないので、 撮影の中断時間プラス再び蛍が光りだすのを待っている時間のほうが長かった。
散策路に入っての撮影と言う方法もあるが、 それでも光害は余程中へ進まないと防げない。
まして、 この日は西臼塚のPには多くの車が止まっていた。
すべてがカメラマンではないが、キャンパーもいて、 又そのテントから漏れる光も気になるところ。
そして、 真っ暗闇の、どこでヒメボタルを撮影しているか判らない、カメラマンを気にしながら歩くのも憚られた。
結局、県道180号沿いで 数カット撮って帰る事にした。
もっとも、午前1時半には、かなり ヒメボタルの数も減ってしまい、2時間弱程度の滞在時間となった。

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