相棒の栞  モバイル版

千葉県君津市笹1954付近
撮影日時 : 2019−3−20
3月の栞 『亀岩の洞窟(農溝の滝)ハート型光芒』
久津間海岸で「案内人」を務めて下さったカメラマンさんから、彼のスマホで見事なハートを拝見した。一見して、「絶対叶わないな!」と思えるほどの出来栄えの写真で、靄がかかっていたのか太陽光線がはっきりと差し込んでいて、くっきりと「ハート」の形をしていた。もとより、数年前「インスタ栄え」する場所とかで紹介されてからは、異常な人気となっているらしく、前日から場所取りをしないと、「ハート型」ポジションは得られないと聞いていた。しかも期間限定。年に二回のお彼岸前後。ばかばかしくて此れだけを撮りに行く気もなかった。しかし、「案内人」さんのそれを拝見してからは、関心度が急速に高まった。丁度、彼と出会ったのが3月の11日だった事もあり、お彼岸近いじゃん!「是非行ってみてください。平日ならそれ程混んではいないと思いますよ。」果たして・・・。それなりに混んでいました。

2時間ほど仮眠をして、午前2時出発。2時間半を予定していたが、ガラガラのアクアライン、そして館山自動車道。房総スカイラインは、ナビでは有料道路になっていたが、結局無料。2時間程度で到着。が、しかし、第一駐車場には既に20台ほどの車。暖を取る為アイドリングをし、地球温暖化に貢献しまくっているではないか!一瞬絶望的になった。と言うのも「ハート型」が撮影できるポイントは、非常に限られていて、せいぜい三脚3〜4台分。Uターンして帰ろうかと思ったほどだ。それ程明るいとはいえない駐車場、とりあえずは案内板を探す。初めての土地では、入り口の看板も矢印も全く見えない。たまたまトイレから出てきたカメラマンの後を着いて真っ暗な道を進む。両側にロープが貼られた通路は舗装もされていて歩きやすい。「歩数」の案内板があるとかだったが、そんなもの暗くて見えない。ヘッドライトで正面を照らすと、「ゴール」と書かれている看板があったが、何の「ゴール」か全く判らない。目指しているのは、川に浸るほどの岸辺。こんな高い所が、自分の「ゴール」なんかではない。前を歩いていた人が急に左へ曲がったかと思うと、下り階段が続く。。右に折れる頃には、10メートルほど前方でヘッドランプがチラつき、自分のライトが数本の三脚に張られた反射材を浮かび上がらせる。場所は判った。しかし、いつの間にか足は水の流れの中。ツルツルの河床は滑りやすい。一度でも来ていれば大体の様子や、どこを歩けば安全なのか判るのだが、初訪問で真っ暗。最悪の条件だ。手前からずらっと並ぶ三脚の多くは無人。皆、温暖化に寄与しながら車中で夢のお国へお出かけと見える。ベストポジションは、二つの白い石の前。しかし、残念ながら2メートル近く後方しか空いておらず。実は、もうこれ以上ベストポジションから離れてしまったら、ご紹介に堪え得る「ハート型」の形にならないので、サッサと帰るつもりだった。ギリギリ「徳俵」に何とか足を踏み留めた感じだ。三脚を立て「まな板の上の鯉」の如く、覚悟を決めた。とりあえずは場所確保。果たして「ハート型」は撮れるのか撮れないのか?フィフティー・フィフティー、何とも確証が得られないまま一端車に戻り、腹ごしらえ。自分が到着した後は、駐車場に入ってくる車は殆ど無く、勝負は日付が変わるころまでに終わっていたのかも知れない。気合の入ったカメラマンは、とりあえず、早く場所取りしてから睡眠と言うパターン。此れは花火大会の場所取りと似ている。

5時過ぎに「本当の長靴」に履き替え、リュックを背負う。まだまだ1時間半以上「ハート」の出現には時間があったが、車の中に居てもアレコレ考えて、とても眠れる状態ではない。それよりも少しでも不慣れな場所にいて、アレコレ考えたほうがまだまし。とは言っても、「亀岩の洞窟」辺りをライトで照らしてもライトの明るさが足りず、その形は全く判らない。カメラを出して長時間露光をすれば、その姿は確認できるのだろうけれど、暗闇で一本の三脚の脚が川の中の石の上では安定感が必ずしもいいとは言えない。カメラを据え付けた三脚の脚が滑ろうものならカメラは水没の憂き目に合う。とてもそこまでのリスクは負えない。少ししてようやく自分の右後ろに相当大きな三脚と機材を持ったカメラマンが並んだ。もう一人の仲間との会話で、マスコミ関係か、どこかに写真提供するプロカメラマンだと感じた。スタッフらしき人と、撮影の仕方を打ち合わせる一方で、盛んに電話でやり取りを試みようとしていた。おそらく依頼主と。しかし、ここは電波の状態があまり良くないらしく、アンテナが一本だとか言いながら、本当に通じるのか隣同志で通話をし、確かめていた。静かだった周囲は、6時半近くになると見学場所に溢れんばかりの見物客となった。当然、今頃来る人はただの見学なのだが、中には割り込んでくるカメラマンも居るので、周囲に気を配っていないといけない。とかく、大体後から来る奴に限って常識はずれな振る舞いをしてくれる傾向にある。場所取り用の脚立だけ置いておいて、後から三脚を立てる「おばさんカメラマン」もいて、隣のカメラマンが画郭に入るので引っ込めるように「穏やかな口調」でご注意申し上げていた。

正面右の山頂が、太陽の光に照らされるのを見て、今日は朝から晴れだと確信した。後はどうやって光が差し込んでくるのかを確認すればいい。レンズは5Dに16〜35_を着けたのと7Dに28〜300_を着けたのを用意したつもりだった。初め16〜35でようやく洞窟(ほぼ同義語で洞穴と言う言葉があるが、個人的には洞窟は長さが長く洞穴は距離が短いか、文字通り、「ほら穴」の違いを感じるのだが)を捉えてみた。フルサイズの35ミリでは全然小さい。そこで徐に「迷った時の28〜300」を出したつもりだった。が、しかし、装着レンズを間違えていた。着いていたのは70〜200.「誰だこんなの着けたのは!」「お前だよ!」70ミリにしてもAPS-Cなので112ミリ。ありえない画郭オーバー。やむを得ずタスキ掛けレンズ交換。7Dに16〜35_を着ければ56ミリ、何とかなりそう。70〜200_は洞穴の部分だけをとるならOK。しかし、光が差し込んできたら、それはとんでもない想定外。場所取りにやや失敗した挙句、レンズのミスチョイス、お助けいただいたのは、晴れの天気のみ。隣のプロカメラマンさんの、5D・MARK・Wと、24〜105Uの最新機材を恨めしく眺めてしまった。このレンズ対応で大丈夫なのか?縦位置のほうがいいのか、初めての場所につき物の不安。もっとも、お隣のプロも、初め「縦位置かもしれませんね」などとスタッフと話をしていたくらいだから、ここが初めてなのだと察した。

今か今かと「ハート」の出現を待っていると、正に7時ピッタリ頃、洞穴の上部がうっすらと明るくなり、あっという間に光芒が差し込んで来た。それは結構唐突で、すばやかった。やがて光芒は45度くらいまでになり「ハート」を形作った。実は初め、お隣のプロが「縦位置かも?」なんて言ってくれちゃったもので、5Dに70〜200_に載せ変えて、その時を待っていた。ドウシテドウシテ光芒はほら穴を突き抜けて、相当左奥まで達するのだった。「何が縦位置よ!」、急いで7Dプラス16〜35に換装。結果、少しばかり、「いい処取り(撮り)」に失敗したがまずまずのレンズチョイスだった。もう一メートル前だったら完璧だったのだが、それなりの形にはなってくれた。ここがなぜ駄目かと言えば、右上部に枝が入るからで、「ハート」のクビレ自体は悪くは無い。無理矢理「ハート型」に拘らなくても、十分「不思議感」は出ているのではないかと思います。

まるで「ジブりの世界」のようだとか、「ジブリっぽい」などと、ここを紹介していますが、自分は「ジブリ」の作品を一つも見ていない(題名は数個言える程度)ので、どういうのを指すのか皆目見当が付きません。おそらく「洞穴」の向こうから、何か得体の知れない物体や可愛い女の子でも出て来てくれれば、そう言うのかも知れませんが、違ったりして。でも、そうしたら「やらせ」ですよね。矢張りここは純粋に自然現象が複合してできる、一時間にも満たない「ありえ無そうな」光景に留め、それ以上でもそれ以下でもない、それでいいかと思いました(もっとも、この洞穴は人工的に掘った物との事)。

太陽(光線)が刻一刻と動く事によって、岩盤の凹凸に当たる光、とりわけ「ハート型」の左先端の形が微妙に変っていくのが面白かった。完全に朝日が昇ってしまうと、洞穴はただの「まん丸」。それはそれで景色的にはいいものではありますが、あの「ハート型」の光芒が凄すぎるため、落差を感じてしまう。色々ミスはあったものの、70パーセントほどの満足感を持って昼頃帰宅。数時間の睡眠の後、お仕事モードへ。作品は、現地道案内にのっとり、入り口からのご案内となっております(「ハート型」は時系列)。

アクセスカウンター アクセスカウンタ