| 5月の栞 『中綱湖のオオヤマザクラ』 |
「中綱湖」は「木崎湖」「青木湖」と合わせて「仁科三湖」と呼ばれている。三つの湖は「農貝川」で繋がっている。フォッサ・マグナ(糸魚川静岡構造線)上にある構造湖(断層に因る窪地にできた湖)。その中で一番小さな湖が「中綱湖」。周囲2キロほど。非常に多くの一本桜を撮影しておられる、近藤師匠の作品を拝見しても、お判りの通り、「オオヤマザクラ」はソメイヨシノと違い、満開の時期がそれ程長くは無い。ある案内では3日、まあ前後1日プラスしてせいぜい5日程度か?
「中綱湖」を知ったのは、昨年。加入している互助会の会報誌で紹介されていて、それを切り取ってデスクに挟んでおいた。その時の案内では、5月1日撮影とあった(西暦は不明)。もう遅いかなと思いながら、5月3日に「中綱湖・桜開花情報」を開いてみたら、まだ散っていないようだった。天気も心配なさそうだったので、急遽22時半に出かけた。深夜だから空いているだろうと、3時頃の到着を目論んで箱根・山中湖〜河口湖経由「一宮・御坂」インターから中央道に乗る。こんな時間ではあったが、車の量はそれなりに多く、皆さん彼方此方お出かけのようで・・・。法定速度で走っても到着が少し早くなりそうなので、「塩尻北」で高速を降り、R19〜R147を利用。
最初に案内が出てくるのは「木崎湖」だが、勿論真っ暗で何も見えない。しかし、ここまで来れば「目的地は近いぞ」、と言う感じ。程無くナビが「目的地付近です。」とは言うものの、国道から左へ下りる細い道を見落とし、「中綱湖」からドンドン離れてて行く。Uターンして戻るものの、今度は反対側からの右折禁止。はやる気持ちと湖の場所がハッキリしないモヤモヤ感が募る。改めて国道から左折し、下り坂を降りる。降り切った所でJR大糸線の踏切を渡る。直ぐに臨時駐車場の案内が左矢印で出て来て少し安心。そこで「本当」の駐車場を捜す。路上駐車禁止の立て札を3枚くらい見ながら「築場」駅付近に差しかかった。するとどうでしょう、ありとあらゆる空き地にギッシリ車が車庫入れ状態。少し駅を通り過ぎて空きスペースを捜すものの、傾斜地や段差を乗り越えなければ停められない所しか空いていない。その数ざっと50台。仕方無しに「臨時P」へ。隅っこに雪が残るヌルヌルのダート。ここも既に20台くらいは止まっていた。ここからだと駅まで7〜8分歩く。なぜ駅と申し上げるかと言うと、「中綱湖」のオオヤマザクラを見ようと思えば、駅のホームからも見えそうなのだ。それが判ったのは周囲が明るくなってからだが。
駅まで来たものの、さくらの場所がどこなのか全く判らない。大抵こういう時は、カメラマンのヘッドランプがチラついているものなのだが、それも見えない。駅前から真っ直ぐ西に向かって、農貝川に架かる橋の上に一人のカメラマンを発見。すかさず声をかけてみた。そのカメラマンは、昨日の夕方明るいうちにロケハンを済ましていて、詳しく教えて下さった。「さくらはあそこら辺です」と指を差すものの暗闇で何も見えない。「ほら、今ライトが光ったでしょ」。「ISO上げてあの辺露光してみたら良いですよ」。なるほど的確なアドバイス。「大体130ミリくらいです」。ますます頼りになる。で、30秒ほど開けた結果、うっすらと映っていました。それは、まさしく互助会の冊子から切り抜いたあの写真に近いもの。肉眼では何も見えなかったので、モニターに写った「オオヤマザクラ」は、多少ピンボケだった。それでも、輪郭だけにしろ「さくら」が写っていただけで感動もの。昨日下見をしているのに、どうして橋の上に一人でポツンといるのか不思議に思って、聞いてみた。「カメラマンは大抵どこで撮るんですか?」と。「あのさくらの左です。多分相当多くの人がいると思いますよ。」との答え。橋の上から撮る理由は、より湖面反射を高いところから撮りたいためだった。そのうち、橋の下の河川敷にも、ドンドン三脚を担いだカメラマンが並び始め、やがて自分たちの左右にもギッシリカメラマンが集まってきた。
試し撮りも含めて、4時頃からシャッターを切り始めたが、どうも長めの露光をしてもはっきり写らない。やがて、山の輪郭が微かに判るようになったころ、湖全体が靄っている事が判った。ここは標高800メートル程有り、勿論気温は一桁台。防寒用のコートを着ていても、寒くないといったらウソになる。一筋の雲(朝霧?)が山の中腹から湖面に降りて来て、辺りは一層幻想的になった。周辺には50人ほどカメラマンがいる筈なのだが、静かだ。シャッター音だけが不規則な間隔で聞こえるだけ。空は早めに明るくはなったが、太陽が差すには未だ時間がかかる。よって、さくらの発色はまだまだ。カメラの露出を変えても色は出ない。やがて、後方の山から太陽が差し込むと、それは、かなり紅が強いピンク色の「オオヤマザクラ」が現われた。背景の木々のグリーとのコントラストも綺麗だった。そして、湖面への写りは目を見張る美しさがあった。暫しシャッターを押すのを忘れて、唖然としていたのだろうか?帰宅後、朝日が当たり出した、その瞬間が数分飛んでいて、撮影出来ていなかった。風は殆ど無かったが、それでも湖面へ詳細なさくらの映りはイマイチだったのが残念。別な場所で、撮影すれば、もっと良く映る場所があるのではないかとも思ったが、欲の掻き過ぎかも知れない。
今回は、急に満開だということが判り、急いで出かけることになったが、右も左も判らなかった「亀岩の洞窟」のハートマークの撮影の時と同じように、場所取りに不安を抱いて撮影に臨んだ。しかし、「中綱湖」のオオヤマザクラの撮影場所は、いくらでもあるというのが、行ってみて判った。更に、朝日が当たり始めてからは、三脚にしがみつかなくても、激戦ポイントに手持ちで乗り込んで行き、隙間からでも十分撮影可能。皆撮影に夢中なので、横一線を守れば文句は言われない。実際、自分も日が昇ってからは、荷物を置いて「オオヤマザクラ」の近くの激戦区に遠征した。ジックリ構えることは出来ないが、色々な場所から撮りたければそう言う作戦も有りです。「亀岩の洞窟」では、キッチリ「ハート型」を捉えるのには、緩めに見ても5〜8人程度の狭い場所しかポイントが無い。それに比べれば、「中綱湖」は、どこでも撮影できるといっても良いくらい。「100人や150人(もっとか?)、どうぞいらっしゃい!」位のエリアが広がっている。満開の時期さえ逃さなければ、そして風さえなければ、誰もが素晴しいシンメトリーが撮影可能だ。 |
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