相棒の栞  モバイル版

静岡県掛川市上垂木坂下バス停付近
撮影日時 : 2019−5−30
5月の栞 『上垂木蛍の里のゲンジボタル(下見)』
上垂木蛍の里のゲンジボタル(下見)5月30日(木)静岡県掛川市上垂木坂下バス停付近

昨年「くんま蛍の里」へ行った時、隣のカメラマンから「上垂木(かみたるき)」の蛍情報を耳にした。その時点で候補の一つに挙げていたのだが、掛川の「法多山」との二択に迷った。どちらへ行くにしても、平日が良いに決まっているが、早々休みは取れない。よって、二択の内どちらかに決めなければならない。ネットで調べる限りでは法多山1000頭放流、上垂木は1500頭とある。イマイチ「放流」の意味が判らないが、上垂木での放流は「今年3月上旬に幼虫1500匹を放流」との書き込みがあった。実は、今年の放流数は例年と比べると最低。過去には2000〜6000とある。6000も放流したら、どれだけ凄い景色になることやら。因みに昨年は4200等とあるから「どん(れ)だけ?」凄いか?メイン会場に架かる「青山橋」の左100メートル、右側250メートル辺りがポイント。「蛍密度」を考えれば高いといえる。矢張り撮影する身になれば「上垂木」の紹介は頼りになる(法多山は、尊永寺と言う寺が、だんごを振舞いながら蛍を観賞する感じで、風情はある)。

静岡県へは箱根峠越えをすれば、あとは(新)東名合流で運転は楽。この日も所要2時間半で。到着は18時少し前。日も西の空に落ち、現地ロケハンには丁度良い時刻と気温。犬の散歩をしていた女性に駐車場の場所を訪ねた。「坂下」バス停の先150メートル先に白線で綺麗に仕切られたダートがそれ。まだ案内人やガードマンらしき人は誰一人居らず、自分が一番乗り。矢張り平日は楽だ。県道81号線から100メートル程離れた所を垂木川が流れる。手前の水田から水路を伝って水が流れ込む。青山橋の左、すなわち川の上流へ行くと、川が段差になっていて、流れ落ちた水は薄茶色の泡が立っていて、決して綺麗な川とは思えない。ここでカワニナが育つのは無理だろうと思った。この場所で舞うゲンジボタルがどうやって育ったのか、いささか疑問を抱いた。とは言え、手前のロープが張られた見学コースの反対側にも細い道があり(ここは立ち入り禁止)、水路もあることから、向かい側で蛍が育つ事は考えられる。一方で、松川湖のように「鑑賞会」と称して、他から持ってくるケースも有るから、何とも言えない。

19時半になるとゾクゾクと見学者が訪れ、それなりの人で賑やかになっていった。しかし、流石に平日だけあって、例えば橋の欄干に幾重にも見物客が重なるとか、ロープ伝いに列が作られるとかいった混雑にはならなかった。カメラマンもそれなりには目に付いたが、来訪者の2〜3割くらいが三脚持参のカメラマンと言った所。ガイド係りの人に聞くと20時から20時半までが一番飛ぶと教えてくれたが、ここもやっぱり最初に光出したのは19時40分だった。一頭が光ると連鎖反応で、三頭がシンクロし、やがてパッと飛び立つ。小さなお子さんも多く、「飛んだ!」と大声で叫んだり、「こっちも光った!」と興奮気味に指を差したりする、毎年の光景が繰り返される。

自分も、今年初の「ゲンジ}蛍の撮影で、いささか勘が鈍っているのか、どこが良い場所なのか判らないうちに、20時を迎えてしまった。あえて言ってしまえば、構図的に単純すぎる地形なのだ。高低差は勿論無く、両側に等間隔で植えられた桜並木を挟んで、法面を含めて5メートルの川幅が続くだけ。桜の木との間も3〜4メートルの間隔で、そこに三脚を置いても隣のさくらの木を画郭に入れないようにすると、浅い(遠くまで見通した)角度での撮映は無理。45度から60度あるいは対岸と完全対面の90度で写すしかない。受付の人に橋の上で撮っても良いか尋ね、OKだったので、主にそこから撮影したのだが、桜の木が意外に生い茂っていて、水面に反射する色が汚かった。ただ、暗いお陰で露光時間は3分くらいは平気で、月明かりも無く多過ぎる蛍が写った写真が出来た。しかし、背景の写りがもう一つパッとしなかったのは残念。

21時過ぎ、一人の係りの人が近付いて来て、昨日よりも数が増えていることを教えてくれた。「良い写真撮れましたか?」と聞かれ、その時点では納得が行く写真は一枚も無かったので、「駄目です。これから頑張ります。」と答えた。「良い写真が撮れましたら送って下さい。受付で売りますから。」「はあ、そんなー。もし、良い写真が撮れましたら、差し上げますよ。」と答えたら、ポンと肩を叩かれ、立ち去って行った。コンクールとかに出すのが嫌いで、一回も応募なんてした事が無いから、評価される写真がどのようなものかも皆目見当がつかないし、自己満足で撮るだけの自分に声掛けは間違っている。他にもカメラマンは、何人か残っていたのに。

上垂木は、このイベントにかなり力を入れているようで、料金を払えば来年はがきで飛び始めを通知してくれる。最低何円からなのか目安が無かったので、聞いた所100円だそうだ。「切手代くらいは貰わないと・・・。」と言われ、ごもっとも。「一千万円寄付したら名前をでっかく掲示するのだけど。」と、からかわれた。ポケットにあった300円を箱に入れては置いたが。

来年は、はがきを待って出かけてみることにする。場所がわかったので、もう少しレベルアップが出来るかも知れない。結局、蛍は23時以降も元気に飛んでいた。しかし、もう誰もいないだろうと思ったのか桜並木に車が入ってきてしまい、それ以後の撮影は諦めた。「眼付け」してその車の方へ歩いていくと1メートル手前で、ガチャンとドアロックする音が聞こえたますますムカついたが、ヘッドライトを浴びせるだけで我慢した。一言窓をチョッとでも開けて、「すみません」と言えば済む事なのに・・・。それにしても、ここの桜並木、結構素晴しい!蛍よりもそっちかも?と思ってしまった。

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