相棒の栞  モバイル版

神奈川県横浜市栄区上郷町846
撮影日時 : 2019−6−2,9,13,16
6月の栞 『瀬上沢の源氏蛍(下調べ)』
<6月2日訪問記>「グーグル・マップに、こんなにはっきり表示されているなんて!」
昨年に引き続き、近藤師匠共々蛍飛翔地の新規開拓に取り組んでいる(行動は別だが、後の観察報告は共有)。新規開拓と言えば格好は良いが、何の収穫も無く戻ってくることも覚悟のうえ。ただ、現地に行かない限りはどうにもならないので、今年結果が出なくても、来年以降の取捨選択の篩(ふるい)に掛ける材料とするしかない。但し、出かける前から、一つの基準としているものが自分にはある。その一つは、ホテルや庭園などでの蛍放流(鎌倉八幡宮などは、入場者さえ順番待ちの限定。ただ、ここの良い所は写真撮影が駄目な点。中途半端な案内より徹底している所が良かったりする。)と名の付くもの。それに時間制限(大体21時までとかが多い。)や、見学コース指定などが付け加わったら、撮影などありえない。どんなに蛍が多くてもだ。大体どこの蛍会場でも21時までがおよその刻限だが、それは、係員の退場(勤務終了)時間でもある。その後、排除されずに自由に留まる事ができれば、そこからが人を入れずに撮影できる時間帯とも言える。

北鎌倉〜大船辺りの蛍をグーグルマップで辿っていたら、一山越えて上郷の「蛍生息地」の文字が飛び込んできた。手前勝手な話だが、なんてことは無い「山手学院中・高」の近くではないか。ただ、上郷町は北鎌倉の私学へ行く時に使うこともあるが、結構交通量と信号が多く、ノロノロ運転。アクセスが良いとはいえない場所(公田、鎌倉女子大前交差点は忍の一字)。むしろ「横横道路」の日野IC辺りからのアプローチか、「環状3号」を使ったほうが良い。しかし、いづれも湘南からは一端北上してからの南下道路。20キロも無い距離だが、40分から50分近くかかる。

その昔、横浜横須賀道路が通る前、更に言えば、根岸線が大船まで開通する前までは、鎌倉いや逗子の池子弾薬庫、さらには葉山も含めて丘陵地帯がずっと続いていた。今となってはズタズタに分断された感もあるが、本郷台や港南台は地名が示す通り、アップダウンの激しい町だ。山を切り開いて造った住宅地である事は誰の目にも明らか。そして、同様のことは、瀬上沢でも言える。17時に家を出て県立横浜栄高校を目印に走ったが、滅茶苦茶判りにくい。かなり前、山手学院の学校説明会に出席した時は、もっと寂しいところだったような記憶があったが、起伏の激しい道路の両側には店舗が建ち並び、車の量も半端無く多い。戸塚方面から、環状3号線を軽ワゴンでトコトコ頑張って走る。と言うのも、グーグルマップで栄高校付近を歩いてみると、高校の周囲は一方通行で道幅は狭い。とてもでかい車では不向きな場所だと判断した。そして、高校正門へ続く道はかなりの下り急坂で、しかも瀬上沢入口までは急降下と言って良いほどの下り坂。如何に山を切り開いて造った高校であるかを物語る。
        
グーグルで辿ってあったので、目的地付近迄来れば見覚えのある道が頭の中に蘇る。「着いた」と判断できるが、途中は「何で、港南区を走ってるんだ!」と不安になった。入る道も右折がし難い場所で、思いっきり通り過ぎてしまった。気を取り直してUターン。ようやく見覚えのある一方通行のマーク。車は一台だけ止まっていたが、天気も芳しくなかったので、少ないのかと思った。しかし、入口から奥へ向かって歩いて行くと、時たま向こうから歩いてくる人に会う。蛍には時間的に早いので、散歩なのだろう。先ずはコンデジで、下見がてら何枚かパチパチ。右側に流れる水量の多くない「清水の流れ」とでも言った方が相応しい小川を溯って行く。上空を送電線が走り、鉄塔もドカンと湿地帯に建つ。道は途中の民家までは舗装路、その後「瀬上池」までは歩き易いダート。池の手前が広場になっていて、ここが一つのポイントみたい。女性グループや親子連れが東屋で休憩中。池の奥にも足を運んだが、少し開けた場所があり、その先は倒木等で通行止めになっていた。一方、左手の「氷取沢」方面の道も探索したが、少し盛り上がった雑木林の先には、良い感じの雰囲気だと思える一角を見つけた。一通りの探索を終え車に戻る。

19時過ぎに機材の準備をしていると、一人のカメラマンが「蛍ですか?」と声をかけてきた。彼は昨日も来たと言うので、これはラッキーと思い、ご一緒させてもらうことにした。ただ、昨日は奥まで行く間に10頭程度、一番奥で一頭だったそうで「今日はドウかな?」と思って再訪したそうだ。一昨年撮影したという、奥の場所での写真をスマホで見せてくれたが、上手い具合にタイミングが合えば、それなりの「絵」には十分なりうる作品だった。何せ、自然発生のゲンジボタルだから、時期を予想しても確率は高くはない。この日も「昨日より少ないんじゃないか?」と彼が言うように、リュックからカメラが出ることはあっても、シャッターを切ることはなかった。開発の反対運動をしている方が、我々に話し掛けてきたが、「今年は一週間くらいは遅い。去年は結構この時期飛んでいました。」と教えてくれた。円海山一帯はハイキングコースになっていて、おそらく別な場所でもゲンジは飛んでいるようだ。追従させて頂いたカメラマンが言うには、「氷取沢」側でも、蛍の看板が出ていた。」と、日中ハイキングをした時に看板を発見したことを教えてくれた。この日、蛍は撮影できなかったが、情報面では収穫はあった。文字通り下調べに終わりましたが・・・。

<6月9日訪問記>「霧雨・低温でホタル頭数頭打ち、両足グチョ・グチョ」
昨日よりも、もっと気温が低く、いつ雨が降ってもおかしくない曇天に、行くのを躊躇した。しかし、今年初めての新規開拓地、まだ、収集しきれていない下調べは沢山有る。二度目の下調べと言う気持ちで出かけることにした。出発後、5分も経たない内に霧雨がフロントガラスに着き始めた。まあー、多少の雨でもホタルは飛ぶのだが、気温がますます下がりそう。到t着時、小雨が降っていたせいか、車は5台ほどしか駐車しておらず、その多くは車中で時間待ち。自分も雨合羽を着、カメラにレインカバーを掛けながら待機。19時20分ごろ「瀬上池」奥の「漆窪休憩所」を目指す。しかし、辺りがかなり暗かったせいか、既に入り口付近から数頭が飛び始めていた。予めカメラと三脚はセットしてあったので、すかさず、そして手短に撮影。「漆窪」での飛翔は数こそ15頭〜20頭はいたが、飛翔距離と飛翔時間帯が短く(チョッと飛んだだけ)全然枚数を得ることは出来なかった。雨のせいか木の上の方ばかりで飛んでいたが、その時間も短く、後は殆どとまったまま。予想した画郭の中を満遍なく飛んでくれなかったので、相当の偏りが生じてしまった。

雨は大した事は無かったが、葉っぱに落ちた雨滴が、大粒の雫となってポタポタ落ち始めて来たので移動することに。次第に足場がぬかるんで来て、何回も滑った。下手をすると三脚ごとスライディング、カメラを(又しても)壊しかねない。何せ、ここまで来ると携帯の電波は届いていないのだ。「リスやハクビシンなどは良く見かける」と先週会話を交わしたカメラマンは言っていたけれど、「ここまで来るカメラマンは、例え土曜日でもほとんどいない」そうだ。そんな話を思い出すと、今回は潔く帰る方が懸命だと感じた。この日お会いした近所に住むご夫婦の話しだと、5日の水曜日が多かったそうだ。今日のような天気では、ピークが過ぎたのかどうかは決められないまま雨脚の弱まらない瀬上沢を後にした。

<6月13日訪問記>「瀬上沢に対する意固地!。何としても自分の足で調べたい!」
藤沢市の公立中学の中間試験は今日まで。来週は茅ヶ崎市。前日まで数日間雨模様だったが、今日は運良く上天気。3回目ともなると、抜け道や空いた道も少しは把握できるようになり、平日なので40分弱で到着。19時時点で10台の車、8台の自転車、2台のバイク。ひょっとして、未だホタル見られるの?期待に多少の興奮。入口から200メートル付近で、初回にお会いした顔見知りに出会う。「こんにちは」の挨拶の後、「もう遅いですかね?」わざと否定的に声をかけてみた。「いや未だでしょう。大体、平家ボタルが飛び始めると、終盤なんだけど、今年はまだヘイケを数匹しか見ていないから・・・。」凄い回答だった。こういう確からしい情報の積み重ねが、今後に役立つというもの。迷わず「瀬上池」の奥まで行く気力が湧いてきた。鉄塔の近く辺りから三脚を立てて、その時を待つカメラマンがチラホラいたが、中でも池下の広場手前は凄かった。15人くらいのカメラマンが小川にベッタリ張り付いて列を作っていた。確かに、そこは沢山ホタルが出るのは予想がつく。そして、広場に目をやると、その倍くらいの人数がグル−プで来ていて、ベンチに座って「お茶会」の真っ只中。彼(女)らは蛍が光り始めたら、ただ移動すれば良いだけなので、場所取りもいらない。そんな見物客をスルーして奥へ進む。

漆窪には今日も誰もいなかった。しかし、ホタルは19時25分には光り始め、15頭ほどが20時前後まで飛んでくれた。だが、20時半になると木に止まったまま、やがて光る事さえしなくなった。今頃引き返してもまだカメラマンも見物客も多いだろうと思い、仕方なくカメラを3分間の開放にしたままタイマー・レリーズで自動撮影。帰り支度をして折りたたみ椅子に腰掛けたり、付近を散歩したりしていた。20時半少し前、鎌倉から山伝いにハイキングに来たという9人グループの集団が、大丸広場から下りて来たのにはびっくりした。流石にこの時は「多勢に無勢」、こちらの方が慌てて撮影を中断した。9個もの光が急階段を下りてくる光景は、こんな山の中では少し異様。少しして氷取沢方面から若い女性3人が、懐中電灯をピカピカさせながら通り過ぎて行く。無人の三脚に驚くでもなく・・・。その後、この場所を諦めて池の下広場へと移動。途中、中年のご夫婦が灯りをつけて上がって来ようとしていた。挨拶を交わすと、「蛍いましたか?」のお尋ね。きっぱり、全く飛んでない事を伝える。「昨年はかなり飛んでいましたけれど・・・。」のお返事。此れも今日の収穫情報。そうなんだ!j時期さえ合えば期待できる事が判った。

21時を過ぎると、あれだけ並んでいたカメラマンのほとんどがいなくなり、5人ほどになっていた。見学者も3人ほど。「此れならここで、ありふれた写真でも撮っていこうか!」と言う気になった。池の奥では全くお休み状態になってしまったホタルも、ここではドウでしょう!びっくりするくらい活動的。時間関係なく(と言うことは20時前後はもっと凄いのか?)飛んでくれちゃって、ニンマリ。時々、まだこの時間になっても来る人がいて、そう言う人に限って年齢は若く、集団。そして辺りを照らしまくる。上弦の月とは言え、十分に下を見て歩けば明るいのに、腹が立つ。

この日は、過去二度、道の真ん中を占拠?していた黒猫ちゃんには会えず、代わりに前回も川の中を歩く「狸?」にビビッタが、今回は2箇所で遭遇。彼等は必ずカップル(つがい)で行動しているのが調査結果?で判明。かなり人には慣れていて(と言うか、人が危害を加えないと思っているのでしょう)こちらを見つめちゃったりしています。折角のカメラ目線の写真は撮れませんでしたが(実際には撮ったのですが、赤目のピンボケ。一応アップしました。)、「瀬上沢」へ来たという記念にはなります。16日は私用が入っていて、埼玉へ行かなければならないのですが、帰りに寄れたら良いななんて・・・。ますます「瀬上沢」に嵌って行っています。

<6月16日訪問記>「上郷・瀬上の自然を守る会の方が、今日がピークかも知れない!?と」
4月の下旬近く、親戚の60代男性が軽い脳梗塞で、東京・目白の病院のICUに運ばれた。翌日、仕事をやり繰りして担当医の話を聞くため出かけた。幸い、ふらつき、手が震えている異変に会社の部下が気付き、即、救急車を呼んだのが良かったらしい。早ければ早いほど、回復の確率は高いらしい。ICUに手洗いとマスクをして入り面会した時には、単語程度の言葉を聞き取るのがやっとだったが、約一ヶ月間のリハビリを経て、自宅に戻ったとの知らせには、流石にホッとするものがあった。多少話すスピードは遅いものの、殆ど何もなかったかのような会話が出来、会社(中小企業ではあるが社長さん)にも行かれるまでの体調だという。色々話を伺っていると、リハビリのメニューの中に足し算の計算練習が入っていたという話は面白かった。ただ、始めは計算が出来ず、答えが出せない。計算が出来ないものだから答えたくても手が動かなかったそうだ。それを聞いて今度は恐ろしさを感じた。そして、初めのうちは味覚がおかしくなったようで、大好きなビールも不味くて、捨てたそうだ。そうとは知らず嫌味のつもりはなかったのだが、「退院祝い」をするためノンアルコールのビールを持参してしまった。なんてことは無い、味覚が戻ったのか?美味しそうに飲んでくれた。

帰宅したのが18時過ぎ、支度をして直ぐに家を出たが、到着は19時半。今回は栄高校側ではなく、山手学院側から入った。おそらく既に相当な台数の車が、駐車しているだろうと思ったから。ここからだと、正面入り口の右手からのアプローチとなるのだが、途中の狭い道は家族連れがぞろぞろ道を歩いていて、軽ワゴンで進入するのに気が引けるほどだった。入口付近で守る会の方(6月1日の時点でお話をした方)がビラを配っていた。横浜市と東急建設相手に納得出来る内容のレジスタンス・ムーブメントを繰り広げている。それにしても今夜の人出はなんなんだ!まるで、ゲンジ蛍主催の「ホタル乱舞会」開催が徹底周知されているようだ。

準備が出来て、歩き始めたのが19時半。既にかなりの蛍が飛び始めていた。入口から間もない鉄塔付近より、もっと手前から誰かが「クリスマス・ツリーの電飾みたい!!!」と歓声を上げていたけれど、多少オーバーとは言え、非常に良く飛んでいた。こうなると、もう「漆窪」まで行っている間に、この瞬間を逃してしまうと感じ、鉄塔下の暗闇に三脚を立てた。しかし、矢張り枚数の数枚ははLEDライトにやられてしまった。5〜6歳くらいの子供や、足が不自由そうなお婆さん連中が足元を照らして歩いているのを、灯り消してくださいとは言えない。皆の蛍だし、老若男女誰にでも見る権利は有る。そう言う風に思って、我慢するしかあるまい。だが、たまたま見回りに歩いて来られた一人の守る会の方が、犬が薄ぼんやりボーと光る首輪をして歩いているのを見つけ、消すよう指示。更には、「人が多いので犬は入れないようにお願い」していた(入口で言うなら兎も角、ここまで入って来ているのに言ったところで、もう遅いだろうに)。又、近くで撮影していたカメラマンが、カメラの液晶モニターを見ていたら「液晶は消してください」とノタマウ。内心「どうやって消すんだ?」設定変更などは、液晶が光っていなければ出来ないのに、こっちも焦った。銀塩カメラでも持ってこないといけないのか?と同時にそこまで言うか?とも。

たまたま通りかかった守る会の人にそう言われても、運が悪かっただけかも知れない。「瀬上池下広場」で、ずらっと並んだ10名以上のカメラマンたちにも、モニターの灯りは消してくださいと言うのか?入口には、「ホタルを追っかけない。捕まえない。スマホなどの灯りで照らさない」といった類の注意書きはあったが、それ以上の禁止事項があるなら、掲示する方がいいのではと思った。口頭で注意された人の事を考えれば、決して良い気持ちではあるまい(特に犬猫を飼われている方は、家族同然と思っている方もいて、特別な思いもある)。それ程悪いと思っていないだろうから、尚更意外だと感じるかも知れない。禁止事項として書かれて無いことを、たまたま出くわした時に言われても、平等性にも欠ける(ある人はたまたま出会ってしまったので言われ、他の方は、(運良く?)現場にいなかったというだけで、言われないという不平等)。

「白川の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」。ふと、そんな風刺表現が浮かんでしまった。余りにも規則が厳しいと、人間ある程度の緩さを求めたくなると言ったところか。第一、この瀬上沢の隣接地域は東急建設の私有地かも知れないが、瀬上沢は自体は公有地だと思う。そこに生息する全ての生き物を大切にする事は勿論だが、個人のモラルに任せるべき領域は残っている筈。ホタルに対して、守りたい気持ちは痛いほどわかるが、バランス感覚も大切だと感じた。因みに、伊豆・冷川のゲンジ蛍なんかは、伊豆スカイラインを通る車のハイビームに年中照らされている。一端は光るのをやめるが一分後には再び光始める。冨士山のヒメボタルにしても、堂堂と県道を横切るものだから、車とぶつかっている。それでも絶滅はしていない。反対に辰野のゲンジが年々数を減らしている原因はなぜなのか?懐中電灯やスマホが原因なのか?そんな単純な事ではない。

話が脱線してしまったが、満月一日前の月の光はかなり明るく、光が差し込む場所では、斑模様になりコントラストの差が大きいので、例え良いなと思える場所でも撮影は無理。しかも、21時になる前にはめっきり飛翔する数が減り、クリスマスツリーの光はどこへやら。時折、一頭が飛ぶと攣られて飛ぶ10頭くらいをシャッターチャンスと見て撮影するのが精一杯。19時半から20時45分が最高潮。21時には見物人もそれを知ってか激減。さてと、人も少なくなったし、これからという時に蛍も飛ばなくなり、ここ瀬上沢の傾向を掴んだかな?と・・・。ただ、ピーク時には毎日でも(到底困難ですが)来たいと思える場所です(近所の人が羨ましい)。

<追記>近藤師匠も、今年2回、この場所を訪れております。師匠が出かけられたということが後から判ったので、出かけたのは別々の日。よって、今年だけで6回のホタル情報が得られたことになります(返って別な日に出かけたことが良かったかも?)。そちら(近ちゃんギャラリーをクリック)も大いに参考になりますので、合わせてご案内いたします。

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